実は現場で読まれていない「学習指導要領」…最強メンバーによる《学校の自律性拡大目指す改訂》の議論を元文科省キャリア官僚が評価する訳

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これを前提としたうえで、最初に申し上げておきたいのは、今回の改訂は、これまでのどんな改訂よりも難しいことにチャレンジしようとしている、ということです。それは、「学校の自律性の拡大」です。「主役に権限を渡そう」という、ごくごく当たり前の話なのですが、実際にはこれが非常に難しい。

なぜなら、このような話をすると必ず出てくるのが「今の学校にはそんな力はない」「自由にやらせたってできっこないんだから、もっと文科省がコントロールすべき」という批判です。

国の権力を減らしたくない、国会議員や業界団体からの圧力もある中で、文科省としては、「やること」を増やすよりも、「やらないこと」を増やすほうが、よっぽど難しいのです。しかしそれを続けていけば、教師の裁量も専門職性も魅力もどんどん減少していき、その先に待つのは「教師のロボット化」でしかありません。

おそらく文科省は現在、そのような批判に「大丈夫ですよ。日本の教師の底力を信じてみましょう」と反論し、対峙していることでしょう。僕は、今回が「教師の復権」に向けた「ラストチャンス」だと考えています。

仮に今回の改訂で、「何をすればいいのかわからない」という状況に現場が陥った場合、ましてや総合的な学習の時間を導入した時のように「文科省は無責任だ」「こんな仕組みは要らない」という声が現場から上がった場合には、文科省はもう二度と「学校に自律性を」とチャレンジすることはないでしょう。

その結果、世論から上がるのは、次のような声ではないでしょうか。「自分の頭で考えられない教師なんて要らない。それなら生成AIが教えればいい」。

このような未来を回避するため、今学校と、そして学校にとって一番身近な存在である教育委員会は、以下の4つの問いに向き合っておく必要があります。これが、学校が自律的に進んでいくうえでの「羅針盤」となるはずです。

いま学校と教育委員会が向き合っておくべき「4つの問い」
※外部配信先では図表がうまく表示されない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください。

シンプルな学習指導要領に

一方で、文科省は、現場が自律性を活用できるようになるための環境整備に、徹底的に取り組んでほしい。ヒトの充実・カネの充実は、大前提として必要でしょう。

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