有料会員限定

自動車業界揺さぶる半導体「ネクスペリア」事件の深層。米中蘭"三つ巴"のカオスになぜ陥ったのか

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小

「ネクスぺリアと同種のチップを作っているメーカーは少なくない。だが、車載半導体は(細かな用途別の)種類が極めて多く、しかも各メーカーが独自の型番をつけている。代替品に切り替えるにはテストと認証のやり直しが必要で、短期間では難しい」。ある証券会社のアナリストは、自動車業界の動揺の背景をそう解説した。

ウイングテックは2018年から20年にかけてネクスペリアを完全子会社化した。写真はオランダのネクスペリア本社(同社ウェブサイトより)

中国企業が5年も前に買収したオランダ企業の経営権を、同国政府はなぜ今頃になって接収したのか。その引き金は、アメリカ政府による「エンティティーリスト」(訳注:国家安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等のリストで、事実上の禁輸対象)の適用拡大だった。

アメリカ商務省の産業安全保障局(BIS)は9月29日、輸出管理規則(EAR)の適用範囲を広げる暫定最終規則を発表し、即日施行。この改正により、エンティティーリストに名指しされた事業体だけでなく、それらが50%以上を保有する事業体も禁輸対象に追加された。

ウイングテックは24年12月、すでにエンティティーリストに指定済みだった。そのため今回の適用拡大により、子会社のネクスペリアもアメリカの制裁を受けることになったのである。

オランダ政府が強権発動

次ページ中国政府が対抗措置
関連記事
トピックボードAD