中国政府は自動車業界に対し「反・内巻(行き過ぎた業界内競争)」の方針を示し、過当競争の抑制に動いている。2025年5月末には、業界団体の中国自動車工業協会と所管当局である工業情報化省が相次いで声明を発表。国内での「無秩序な価格競争」が企業の利益を圧迫し、業界の発展を阻害していると批判した。同省の担当者は、「自動車業界の内巻に対する統制を強化する」と明言している。
S&Pグローバルの大中華区自動車部門担当の共同ディレクターを務める陶杲氏は9月中旬に開催された業界フォーラムで、2025年1~6月期(上半期)の中国乗用車市場は前年同期比11%の販売増を記録したものの、価格競争の影響により売上高の伸びはわずか0.8%にとどまったと指摘した。陶氏の試算によると、上半期の中国国内における乗用車の平均売価の下落率は2.8~5.6%の間だったという。
「値引きの一律禁止は困難」
ある自動車業界のアナリストは、「当局は市場の無秩序な競争を抑えようとしているが、表立った、あるいは水面下での値引き行為を一律に禁止するのは難しい。価格競争は今後も長い間続くだろう」との見方を示した。
こうした価格競争は自動車のEVシフトという構造問題によって一段と激しくなっている面もある。同アナリストによれば、従来のエンジン車では「エンジン、トランスミッション(変速機)、プラットフォーム(車台)」という「3大基幹部品」の技術的ハードルが高く、メーカーごとに得意な技術はそれぞれ異なり、競争は差別化された条件の下で進んだ。
しかし、EV時代になると、技術的に取り組みやすい「モーター、バッテリー、制御システム」という3つの技術が基本となり、技術格差が縮小した。技術の差別化が難しい分、市場シェアの維持、引き上げには値下げしか有効な手段がないというわけだ。
(財新記者:翟少輝)
※中国語原文の配信は10月22日
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