日本政府の経済産業省からは、外為法の審査においてさまざまなことが問われました。それに対してヤゲオはできる限り誠実に回答し、政府の懸念を解消するための協力と修正を行いました。最終的に両者の間でどのような合意が結ばれたのかは、具体的にお話はできません。
今言えるのは、決して短くないやり取りを通して、私たちは日本政府の安全保障に対する考え方を深く学んだということです。また経済産業省にとっても本件は、安全保障と経済活動に関わる日本政府のよき事例として国際社会に示せたのではないでしょうか。
詰まるところ今回のTOBを成功に導いたのは「時間をかけて、最大限誠実に対応する」という姿勢だったのではないかと思います。
もう一つ、ぜひとも伝えておきたいことがあります。今回のTOBで、ホワイトナイトとして競合する買い手となったミネベアミツミについてです。私は今回、貝沼由久会長の経営者としてのプロフェッショナリズムと、何としても事業を拡大してみせるという野心に深く敬服しました。
ミネベアミツミ会長に「指導を仰ぎたい」
――買収合戦は終わったからノーサイドだ、ということですか。
いいえ、それ以上の心情です。
ミネベアミツミは元々は電子部品メーカーではなく、ベアリングなどの機械加工品の会社です。しかし長年にわたる買収戦略によって、見事に事業領域を広げてきました。貝沼会長の大胆に事業領域を広げることへの強い意思とそれを実現する手腕・知見には卓越したものがあります。今後、私たちが新しい領域に踏み込む際に学ぶべき点が多々ありました。
ですからもし叶うのならば今回の買収が終わった後に、私は自ら貝沼会長を訪ねて請益(見識が豊かな人に指導を仰ぐという意味)したい。
あなたは「請益」という言葉の意味合いを理解していますか? ここは正しく伝えてもらいたいのです。ちょっと書いておきますよ……はい、これをこの通り伝えてください。
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