京急の「赤い電車」、豪快に駆け抜けた名車の記憶 旧600形や2000形など昭和・平成の看板車両たち
筆者にとって、京急は映画とのつながりが深い路線でもある。先に述べた通り、初めて乗ったのが映画撮影現場の取材のときだったこともあるが、京急でとくに好きな場所は品川のすぐ先、八ツ山橋とその周辺だ。
鉄道の撮影地としても名所であるここは、よく知られているとおり初代の『ゴジラ』(1954年東宝・本多猪四郎監督)で、ゴジラが東京に初上陸する場所だ。ゴジラは京急の鉄橋を破壊する。この作品では京急の電車は出てこないが、『シン・ゴジラ』(2016年東宝・庵野秀明総監督)では800形が登場する。庵野監督は筆者の『大百科シリーズ』の読者だったといい、鉄道シーンへのこだわりを語ってくれた。


このすぐ近くの北品川周辺も映画の名シーンに登場している。日本映画の名作として知られる『幕末太陽傳』(1957年日活・ 川島雄三監督)はそのタイトルの通り幕末の品川宿が舞台だが、オープニングは撮影当時の北品川周辺が映し出され、それが江戸時代の風景とオーバーラップしていく。
変わりゆく景色、赤い電車のこれから
このような名作映画に登場した場所ということもあり、筆者はこの八ツ山橋・北品川周辺に思い入れがあり、ことあるごとにこの周辺を撮影してきた。

だが、その八ツ山橋周辺も大きく変わろうとしている。品川駅周辺の大規模な再開発に伴い、現在は高架の京急品川駅は地平駅に、北品川駅は高架化されることになっている。八ツ山橋のトラス橋もこれに合わせて架け替えとなる。長らく親しまれた風景も激変のときが来ている。
一方で「京急といえば赤い電車」のイメージはステンレス車両の現在も変わらず、豪快な走りは健在である。大きな変化を迎える中にあって、鉄道ファンだけでなく沿線利用者に親しまれる特徴の数々はこれからも守り続けてほしいものだ。

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