「家賃は3倍」「違法民泊の運営も?」都内マンションで起こった中国人オーナーの《過剰要求》→平穏な暮らしが崩れた住民たちの"顛末"
さらに民泊営業の前提となる周辺住民への事前周知や標識の掲示もなかったため、男性は板橋区に通報し、早急に改善を求めた。
この通報で、ようやくマンション内の「民泊騒動」はいったん収束したという。だが、この後も住民の不安はとても解消されるものではなく、むしろ事態はさらにエスカレートをみせる。
突然「故障」で止まった、エレベーターの不思議
住民の手で民泊経営を阻止されてしまった「中国人オーナー側の腹いせ」(マンション住民)なのか。2025年5月中旬の朝9時頃から突然、エレベーターの扉の前に「エレベーター停止のお知らせ」という掲示と、「関係者以外立ち入り禁止」というステッカーが貼られるようになった。
理由は、「エレベーターの部品が破損し、現在は運転できない状態である。工場より納期の回答があり、6カ月以上かかる見込み。電気系統にも不具合が見つかり、漏電の可能性がある」などと書かれていた。「エレベーターは直前まで通常通り稼働していた」(同マンションの住人)にもかかわらずだ。
不審に思った住人の一人が、エレベーターの管理会社に問い合わせると、「(3カ月前の)2月のエレベーター点検時には異常は認められず、数カ月間でそんなに大きな異常が発生するとは考えにくい。問題があっても、部品の在庫はあるので、いつでも直せる」との回答を得た。
こうなると、展開はもう泥仕合の様相をみせ、住民と中国人オーナーの間で次々とトラブルが発生する。想像以上に騒ぎが大きくなったことから、地元警察や行政も動かざるを得なくなり、ようやく、中国人オーナーは家賃の値上げを撤回し、エレベーターも再び動き出し、事態は一応の収束をみた。
7階に住む、あの79歳の女性にもこの数カ月間、どんな思いで過ごしてきたのかを聞くと「私もマンションのために力を尽くし、仲間と戦ってきました」と振り返った。少々疲れ気味の様子ではあったが、高齢にもかかわらず、相当精力的に動き、努力をされたようだった。「住民のみなさんが色々調べてくれたり、動いてくれたりしたのは嬉しかった。私一人では、本当にどうしようもなかったです」
ただ、まだまだ不安はあるという。「うちの家は2026年8月に、次回の契約更新の時期を迎えます。私はその時までしっかり居座ってやろうとは思っています。ただ、今の(雰囲気が悪い)状況では、知らぬうち『私の家の周りから、うち以外、誰も日本人がいなくなった』ってことになりはしないかと、心配で仕方ありません」。そう言うと、彼女の表情は再び暗くなり、記者のもとを静かに立ち去った。
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