「家賃は3倍」「違法民泊の運営も?」都内マンションで起こった中国人オーナーの《過剰要求》→平穏な暮らしが崩れた住民たちの"顛末"

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「私は独り者なので、ずっとここに住んでいようと思っていましたけど、そんな甘い考えは吹き飛びました。もうここには絶対住みたくありません」。そう言って、男性はこの思い出深いマンションから退去することを決めた。おそらく、家賃の突然の値上げ通告も、マンションの所有者になった中国系企業が民泊経営をしたいがため、住人を追い出す工作だったのではないかと、男性は振り返る。

精神状態が不安定になる住人も

2025年2月。男性と同じマンションの7階に住む女性宅にもやはり不審な動きが出ていた。夜8時頃。79歳になる高齢の女性が「そろそろ寝ようと思っていた頃」だった。突然、家のインターホンが鳴った。女性は、遅い時間に宅配便でも届いたのかと思って玄関を開けると、そこには、ビルのオーナーだと名乗る中国人男性が立っていた。「来月からここの家賃が上がるの、知っていますか?」。突然の話に女性は戸惑い、マンションの賃貸契約はすべて娘に任せているため「私じゃ、何も分からないから、今日はすみません」と答えた。すると、中国人男性は「今月中に引っ越せば、引っ越し代を10万円、払いますよ」と、話をもちかけてきたという。

女性は「それじゃあ、名刺をください」と言うと、「持っていない」と中国人。「じゃあどうやって連絡すればいいの?」と聞くと、メモ用紙に携帯番号を走り書きし、渡して来た。女性宅にもやはり1月下旬、「新賃料 19万円」と書かれた紙が投函されていたという。女性は約40年前からこのマンションに住むが、もちろんこうしたことは初めて。「近所には精神状態が不安定になってしまい、夜も眠れないといって、既に引っ越しされた方もいた。本当に許せない」と憤る。

3階に10年以上前から住み続ける、IT企業勤務の男性(46)も2025年3月、マンション内での異変を感じ取る。向かいの空き部屋に突然、ダブルベッドなど、大きな荷物が次々に届くようになったからだ。男性はその時、「もしや民泊営業をするつもりかもしれない」と、察したという。そしてすぐに大手宿泊予約サイトをいくつか調べてみると、案の定、3階と5階の部屋が、複数のサイトに民泊として掲載されていることを確認した。さらに男性はその空き部屋に、中国人風の宿泊客や、その部屋を清掃する作業員が何度も出入りする姿を見たという。

民泊を運営するには通常、地元自治体への届け出が必要になる。同じマンションで民泊を始められたことを不安に思った男性は、すぐに板橋区の公開情報で状況を確認した。すると、同区への民泊の届け出は300件以上あったが、男性が住むマンションについては一切、民泊として登録された物件はなかった。

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