石破首相、「戦後80年メッセージ」見送りの可能性…高市新総裁は「必要ない」の立場で「再考」言及

保守的な政治信条を掲げる高市早苗氏が自民党総裁に就任したことで、石破首相の政策路線は修正を余儀なくされそうだ。首相が退任前の発表に意欲を示す戦後80年のメッセージについては、高市氏は「必要ない」と明言しており、見送りを迫られる可能性がある。
4日の党総裁選直後、首相公邸で記者団の取材に応じた首相は、「自分たちだけが正しいと言っていても物事は決まらない。どうやって『リベラル』や寛容さを持って、ことに当たるか(が大事だ)」と述べた上で、「この厳しい国際情勢の中、わが国を間違えない方向に導いていただきたい」と高市氏に注文を付けた。
アジア外交を重視し、選択的夫婦別姓制度の導入にも前向きな考えを示したことがあるなど、首相はリベラル色が強く、高市氏の政治的スタンスは対極にあると言える。
首相は総裁選の投票先を明らかにしていないものの、選挙前には「この1年間共に汗をかき、基本的な政策を引き継いでくれる方が選ばれることがあればいい」と強調し、林官房長官や小泉農相への期待感をにじませていた。
高市氏が総裁選後のあいさつで、首相肝いりの「防災庁設置」や「地方創生」に言及し、「大きな道を開いてくれた」と持ち上げたのは、首相側の不信感を意識しているためとみられる。だが、高市氏が首相に就任した後、石破路線をどこまで継承するかは不透明だ。
戦後80年のメッセージを巡り、高市氏は必要ないとの立場を取る。総裁選勝利を支えた保守派が、「戦後70年の安倍首相談話で歴史認識には終止符を打った」と反発しているためだ。
石破首相は4日に選出された新総裁と相談の上で、首相退任前に記者会見し、メッセージを発表する方向で調整してきた。首相側近は4日、高市氏の総裁就任を踏まえ、「考え方が根本的に異なる。メッセージを発表するかどうかも含め、再考の必要がある」と語った。
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