ベネッセが希望退職者募集、かつての雄「進研ゼミ」はどうなる?少子化と新規参入…「家庭学習」もデジタル化で勢力激変

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強制的な退職勧奨があったかどうかについては、「対象者と直接話したわけではないので詳しいことはわかりませんが、制度の対象となっている人が呼び出されて複数回にわたって1対1の面談が行われていたという話は聞きました。退職を強制する発言があったかどうかはわかりません」という答えだった。

社員にとって今回の希望退職者の募集は“寝耳に水”の出来事だったのか。その質問に、「そうでもありません。社長が交代したとき、『人員削減が始まる』という噂が社内で結構ありました」との答えが戻ってきた。

今年1月1日付で、それまで社長だった小林仁氏が、新たに設立する介護・保育事業の中間持株会社であるベネッセスタイルケアグループの社長に移り、代わって会長だった岩瀬大輔氏が新社長に就任している。

それが、本格的な改革に着手する“狼煙”であり、その一環で人員削減もありうると社内的には受けとられていたというのだ。

2024年のMBOも影響か

「もっと言えば、2024年5月にプライベート・エクイティファンドのEQTと組んでのMBO(経営陣による買収)で親会社のベネッセホールディングスが上場廃止し、同時にベネッセも上場廃止になりましたが、それで人員削減は避けられないとの噂はありました。

というのもEQTがずっと関わるわけではなく、2030年ごろには撤退することが既定路線だともいわれていたからです。それまでに経営を建て直してEQTへの負債を返済する必要があります。経営建て直しにはコストカットが必要で、人件費削減も避けられないはずです」

EQTは、北欧最大のプライベート・エクイティファンドで、スウェーデンの富豪一族ヴァレンベリ家がコントロールしていることから「富豪ファンド」と呼ばれたりもする。

そのEQTがベネッセホールディングスのMBOに投じた資金は約2700億円ともいわれ、2030年に撤退するとしたら、そのときに約2700億円+αをベネッセホールディングスは支払う必要がある。

そもそもEQTと組んでのMBOを選択したのは、経営建て直しのためだった。2030年という期限があれば、その経営建て直しは急ピッチで進める必要がある。今回の早期退職者募集も、一環ということだ。経営の建て直しが必要な業績悪化を、社員であるAさんはどう見ているのだろうか。

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