中国の自動車業界では、つい数カ月前まで「新車販売台数に占めるEVの比率は低下していく」との見方が主流だった。
例えば、中国政府直属の最高研究機関である中国科学院のメンバー(院士)の欧陽明高氏は2025年3月、EVとPHVの合計販売台数に占めるEVの比率が「2025年は50%前後に低下し、数年後には40%前後に落ち込む」という予想を示していた。

過去の販売統計を振り返ってみても、PHVはこの3年間、消費者の支持を追い風にEVを大きく上回る急成長を見せてきた。中国汽車工業協会のデータによれば、EV販売台数の前年比増加率は2022年が82%、2023年が25%、2024年が16%と年々下降したのに対し、PHVは2022年に152%、2023年に85%、2024年に83%もの伸びを記録した。
航続距離より「価格」を重視
にもかかわらず、なぜここにきてPHVの成長ペースが減速し、EVは逆に再加速しているのか。
PHVが消費者の支持を獲得した要因の1つは、EVに比べた航続距離の長さにあるとされてきた。しかし前出の林氏によれば、消費者がマイカーを選ぶ際に最も重視するのは(航続距離よりも)やはり価格だという。

EVの生産コストの内訳を見ると、最も比率が大きいのは車載電池だ。2025年の前半には車載電池の市場価格が(主原料であるリチウムの相場暴落により)大幅に下がり、それがEVとPHVの価格差の縮小につながった。
車載電池の市場価格は2025年後半に入っても下がり続けており、EVとPHVの価格差は一段と小さくなっている。この変化が(割安感が薄れた)PHVから(割高感がなくなった)EVへの需要のシフトを後押ししていると、林氏は分析する。
(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は9月17日
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