中国自動車市場でEVの販売拡大「再加速」の意外 PHVは急成長に陰り、消費者の購買行動に変化

✎ 1〜 ✎ 355 ✎ 356 ✎ 357 ✎ 358
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

中国の自動車業界では、つい数カ月前まで「新車販売台数に占めるEVの比率は低下していく」との見方が主流だった。

例えば、中国政府直属の最高研究機関である中国科学院のメンバー(院士)の欧陽明高氏は2025年3月、EVとPHVの合計販売台数に占めるEVの比率が「2025年は50%前後に低下し、数年後には40%前後に落ち込む」という予想を示していた。

中国市場では外資系合弁メーカーもPHVのラインナップを増やしていたが…。写真は上汽GMが2025年9月にビュイックブランドから発売した「至境L7」(ビュイックの中国向けウェブサイトより)

過去の販売統計を振り返ってみても、PHVはこの3年間、消費者の支持を追い風にEVを大きく上回る急成長を見せてきた。中国汽車工業協会のデータによれば、EV販売台数の前年比増加率は2022年が82%、2023年が25%、2024年が16%と年々下降したのに対し、PHVは2022年に152%、2023年に85%、2024年に83%もの伸びを記録した。

航続距離より「価格」を重視

にもかかわらず、なぜここにきてPHVの成長ペースが減速し、EVは逆に再加速しているのか。

PHVが消費者の支持を獲得した要因の1つは、EVに比べた航続距離の長さにあるとされてきた。しかし前出の林氏によれば、消費者がマイカーを選ぶ際に最も重視するのは(航続距離よりも)やはり価格だという。

本記事は「財新」の提供記事です。この連載の一覧はこちら

EVの生産コストの内訳を見ると、最も比率が大きいのは車載電池だ。2025年の前半には車載電池の市場価格が(主原料であるリチウムの相場暴落により)大幅に下がり、それがEVとPHVの価格差の縮小につながった。

車載電池の市場価格は2025年後半に入っても下がり続けており、EVとPHVの価格差は一段と小さくなっている。この変化が(割安感が薄れた)PHVから(割高感がなくなった)EVへの需要のシフトを後押ししていると、林氏は分析する。

(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は9月17日

財新編集部

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事