世界最大の中国自動車市場で起きつつある主役交代劇、『業界地図』最新版から見えたトレンドの変化

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中国のNEV出荷台数は2013年の1.8万台から2024年に1286.6万台へと急速に伸び、EVで攻勢をかける中国NEVメーカーの成長が目立つ。中国自動車業界では民間企業が主導する電動化時代を迎えている。

日米欧の外資系ブランドが主導する時代は終焉へ

独VWや米ゼネラル・モーターズ(GM)と合弁事業を展開する上海汽車の販売台数は2006年に初めて第一汽車を抜き、中国最大の自動車グループとなった。中国新車市場は大手国有企業が主導する商用車・公用車時代を経て、外資系ブランドが主導するマイカー時代に突入し、上海汽車は18年連続で中国自動車市場のトップに君臨した。しかし、2024年の販売台数で上海汽車は初めて比亜迪汽車(BYD)に抜かれ、業界2位に転落した。

『会社四季報 業界地図2026年版』の「自動車(中国)」のページより

中国国内での需要増加によって、BYDなどの民間メーカーは国際的なNEV市場でも大手へと成長している。2025年1~6月の世界新車販売ランキングでは、BYDが前年同期の10位から7位に上昇し、吉利汽車も8位になった。

中国の自動車業界では現在、過去に経験したことがない急速な技術変革が起きており、破壊的イノベーションを意味する電動化・知能化技術が、従来のガソリン車を脅かしている。 政府の後押しも受けながら巨大市場で進化を遂げる中国のNEVは、価格だけでなく性能面でも競争力が突出している。中国勢は決して消費者志向のガラパゴス化に陥ることなく、自動車輸出を強化する一方、グローバルサウス(新興国)や欧州でEV工場を設け、「地産地消」を進めている。

日本の自動車部品サプライヤーにとっては、中国以外の第3国で新たなマーケットや中国関連のビジネスチャンスも生まれている。

『会社四季報業界地図2026年版』では、そうした業界トレンドの変化を読み取ってほしい。

湯 進 みずほ銀行ビジネスソリューション部 上席主任研究員、上海工程技術大学客員教授

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タン ジン / Tang Jin

みずほ銀行で自動車・エレクトロニック産業を中心とした中国の産業経済についての調査業務を経て、日本・中国自動車業界の知見を活用した日系自動車関連の中国事業を支援。現場主義を掲げる産業エコノミストとして中国自動車産業の生の情報を継続的に発信。中央大学兼任教員、専修大学客員研究員を歴任。『2040 中国自動車が世界を席巻する日-BYD、CATLの脅威』(日本経済新聞出版、2025年)、『中国のCASE革命 2035年のモビリティ未来図』(日本経済新聞出版、2021年)など著書・論文多数。(論考はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)

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