【オンもオフも自由に走る"G/Sスピリット"の再来】レトロと最新が共存した新型アドベンチャーバイク「R 12 G/S」に漂う"ちょうどよさ"

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試乗車はフルオプション仕様で、「コンフォートパッケージ」に含まれるクイックシフターやクルコン、グリップヒーターなども装備。BMWお馴染みのマルチコントローラーで素早くメニューを呼び出せる
試乗車はフルオプション仕様で、「コンフォートパッケージ」に含まれるクイックシフターやクルコン、グリップヒーターなども装備。BMWお馴染みのマルチコントローラーで素早くメニューを呼び出せる(写真:BMW MOTORRAD)
オフロード走行にも適したフラット形状のフューエルタンク。容量は15.5 LでWMTC準拠での燃費は19.6 km/L。計算上ではフルタンクで300km走破できる
オフロード走行にも適したフラット形状のフューエルタンク。容量は15.5 LでWMTC準拠での燃費は19.6 km/L。計算上ではフルタンクで300km走破できる(写真:BMW MOTORRAD)

オプションで選べるクイックシフターやクルーズコントロール、さらにグリップヒーターといった先進装備により疲労も最小限。さすがに高速道路では風を感じたが、それすら冒険の演出に思えてくる。その日はミュンヘン近郊のワインディングや田舎道を1日300km近く走ったが、もっと走りたいと思った。

砂埃と風、自在に走る歓び

「エンデューロ・パッケージ」仕様でフラットダートを突っ走る。長めのホイールベースと低重心により挙動が穏やか。電子制御にも支えられ、思い切ってアクセルを開けていける
「エンデューロ・パッケージ・プロ」仕様でフラットダートを突っ走る。長めのホイールベースと低重心により挙動が穏やか。電子制御にも支えられ、思い切ってアクセルを開けていける(写真:BMW MOTORRAD)
長い足と大径ホイールの威力でちょっとした小川なら楽々渡れる。見た目以上にオフロード性能は高く、まさにリアル冒険マシン
長い足と大径ホイールの威力でちょっとした小川なら楽々渡れる。見た目以上にオフロード性能は高く、まさにリアル冒険マシン(写真:BMW MOTORRAD)

そして真価を発揮するのはダートだ。BMWが所有する専用オフロードコースに足を踏み入れれば、ヒルクライム、ガレ場、砂地──挑戦的な路面が次々と立ちはだかるが、それでもR 12 G/Sなら臆することなく入っていける。リア18インチホイールとブロックタイヤの走破性、200mm超のロングストロークを誇る前後サスペンション、軽量スリムな車体と低重心が作る絶妙なバランスが、安心感となってライダーの背中を押してくれるのだ。R 1300 GSと比べると走りは穏やかだが、それが扱いやすさにつながっている面もある。以前R 1300 GSで同じコースを走ったことがあるが、悪路での走破性を含めオフロードでもほぼ同レベルの走りが可能と感じた。

210mmの豊富なストローク量を誇る、堅牢な倒立フォークを採用。プリロード調整のほか、ダンパー調整は左右に伸び側と圧側をわけた全調整式だ
フロントには、210mmの豊富なストローク量を誇る、堅牢な倒立フォークを採用。プリロード調整のほか、ダンパー調整は左右に伸び側と圧側をわけた全調整式だ(写真:BMW MOTORRAD)
リア側も200mmのストローク量を確保した全調整タイプのマルゾッキ製。最低地上高も240mmを確保しダートでの走破力も本格的だ
リア側も200mmのストローク量を確保した全調整タイプのマルゾッキ製。最低地上高も240mmを確保しダートでの走破力も本格的だ(写真:BMW MOTORRAD)
標準仕様のソロシート。シート高は後輪が17インチ仕様で860mm、18インチ仕様で875mmとなる。オプションのラリーシート(同880/895mm)も選べる
標準仕様のソロシート。シート高は後輪が17インチ仕様で860mm、18インチ仕様で875mmとなる。オプションのラリーシート(同880/895mm)も選べる(写真:BMW MOTORRAD)
上級版の「Option 719」オプションに含まれる専用カラーのタンデムシート。高品質な作りで座り心地も上質だ。豊富な純正カスタムアイテムが揃うのも魅力
上級版の「Option 719」オプションに含まれる専用カラーのタンデムシート。高品質な作りで座り心地も上質だ。豊富な純正カスタムアイテムが揃うのも魅力(写真:BMW MOTORRAD)

また、慣れてくれば「エンデューロ・プロモード」に切り替え、電子制御の介入を最小限に抑えたダイナミックな走りも楽しめる。アクセルとともにテールを軽く流し、砂埃を巻き上げて加速する感覚は、まさに自由そのものだ。林道を駆け抜け、森の小道を這うように進み、水飛沫を上げて川を渡り、草原を駆け巡る──その一瞬一瞬が、冒険の記憶として刻まれていく。唯一、空冷ボクサーの乾式単板クラッチは、スタック時の再発進で少し神経を使ったが、ワイドレンジな1速がほとんどのシーンをカバーしてくれるため、極低速でも半クラを多用する必要がないのが嬉しい。

BMW本社でR12 G/Sのプロダクトマネージャーを務めたアンナさん(右)と広報担当のジュリアンさん(中央)。女性が最前線で活躍する会社は元気がいい。しかも2人ともライディングはエキスパートレベル!(
BMW本社でR 12 G/Sのプロダクトマネージャーを務めたアンナさん(右)と広報担当のジュリアンさん(中央)。女性が最前線で活躍する会社は元気がいい。しかも2人ともライディングはエキスパートレベル!(写真:BMW MOTORRAD)
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総じて、R 12 G/Sはレトロな佇まいにシンプルな扱いやすさ、過不足のない電子装備、そしてたしかな走破力を備えた“ちょうどいい”アドベンチャーバイク。空油冷ボクサーの温もりを感じながら、オンロードもオフロードも心の赴くままに走りたい──そんなライダーに、胸を張っておすすめできる1台だ。

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佐川 健太郎 モーターサイクルジャーナリスト

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さがわけんたろう / Kentaro Sagawa

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。2輪イベントの司会、PVモデル&テストライダー、2輪メーカーやディーラーのアドバイザーも務める。(株)モト・マニアックス代表。「Yahoo!ニュース エキスパート」オーサー。元MFJ公認インストラクター。日本交通心理学会員。二輪車安全運転指導員。

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