【オンもオフも自由に走る"G/Sスピリット"の再来】レトロと最新が共存した新型アドベンチャーバイク「R 12 G/S」に漂う"ちょうどよさ"

電子制御も最新世代に刷新された。3種のライディングモード(レイン/ロード/エンデューロ)をはじめ、コーナリングABS、トラクションコントロール、エンジンブレーキ制御などを標準装備。すべてが直感的に操作でき、走りの状況に応じてライダーを的確にサポートしてくれる。


さらに今回はオフロード走行に特化した「エンデューロ・パッケージ・プロ」仕様も設定された。ひとまわり大きな後18インチホイールやブロックタイヤ、大型エンジンガードやハンドガードに加え、ライディングポジションも最適化されるなど、本格的なダート走行に対応した装備が整う。
新型R 12 G/Sは、40年を超える歴史の中で培われた冒険の哲学を継承しつつ、現代の技術と感性によって磨き上げられた1台である。BMWが築いてきたアドベンチャーの系譜に、また新たな一章が加わったのだ。
R 12 G/S試乗インプレッション
肩肘張らず気軽に楽しめる

スタイルはまさに現代版のR 80 G/S。カラーリングも当時を忠実に再現し、シンプルな車体がスリムさを際立たせる。足が長く、そのぶん車高もあるが、それがかつてのラリーマシンの雰囲気を醸し出している。
跨った瞬間、すっと体に馴染む心地よさ。長年BMWアドベンチャーシリーズを象徴してきたR 12 G/Sの空油冷ボクサーは、最新の水冷エンジンの力強さや鋭さはないが、その穏やかさこそが強みでもある。109psの出力は必要にして十分で、心地よい鼓動感とともに力強い低中速トルクでじんわりと背中を押される感覚が、人間の感性に寄り添っている。


スタンダード仕様はオンもオフも快適に走れる設定で、コーナーを曲がるたびに軽やかさを実感。同じBMWでアドベンチャー界でも最強を誇る「R 1300 GS」と比べて-8kgの車重差は微々たるものだが、跨った瞬間の印象はまるで別物。コンパクトなタンクまわりとスリムな車体が動的な軽さを生み、水平対向エンジン独特の低重心が生み出す安定感によって、初心者でも自然に受け入れられる乗り味に仕立てられている。そう言えばBMWの開発陣もR 12 G/Sが持つ「自在感」を強調していた。
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