BMWが「史上最大のプロジェクト」という新型車「iX3」はデザインだけでなく生産設備まで革新的!
そのあと、排気量を拡大したりボディバリエーションを増やしたりして、のちに日本でも人気の「2002」などが、「3シリーズ」発表まで生産された。
ところで、今回の新型iX3で、従来と一線を画す縦型で横幅の狭いキドニーグリルを採用した理由はなにか。

BMWグループのデザインを統括するアドリアン・ファン・ホイドンク氏に確認した。
「見る人が見れば、かつてのノイエ・クラッセとのつながりという、BMWの歴史を感じ取ってもらえるデザインです」
たしかに氏が言うとおり、iX3のキドニーグリルは、第1世代のノイエ・クラッセを彷彿させる。
複雑さを顧みてシンプルへ
iX3の生産は、ハンガリー第2の都市、デブレッチェン郊外に作った新工場で行われる。20億ユーロを投資して、年産15万台の計画だ。
本格稼働は10月からといい、私が訪れたときはまだテスト生産の段階。サッカー場70個分という広大な敷地には、建設中の建物が点在している状態だった。
ここの特徴は、50ヘクタールにおよぶソーラーパーク(ソーラーパネルを並べた敷地)を展開すること。週末の余剰電力は、水溶性ペイントに使う水を保温しておくために使われる。

(写真:BMW AG)
「デブレッチェン工場を、私たちはiFACTORY(アイファクトリー)と呼んでいます。すべての行程をデジタル化して効率を上げているのが特徴です」
そう話すのは、BMW取締役会メンバーで、デブレッチェン工場を担当しているミラン・ネデルコビッチ氏だ。
「ノイエ・クラッセの製造における特徴はシンプルさです。このところ、私たちの製品は複雑さを増していました。技術も、アクセサリーも増えていって……、そこで考えたのが、リセットすることでした」
ネデルコビッチ氏は、デブレッチェン工場でそう話した。

「たとえば部品は、モジュラー化できるものはできるだけそうすることで、接続時に必要なプラグやネジやクリップの数を大幅に減らしています。フロント部分を例にとると、従来の17から12へとパーツ点数を減らせました」
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