それから、1年も経たずして新浪氏が突然去ったサントリーはこれからどう変化していくのか。
焦点となるのは、海外事業の行方だ。
新浪氏は、サントリーのグローバル展開を飛躍的に拡大させた人物といえる。同社は2014年5月にアメリカの蒸留酒大手ビーム(現サントリーグローバルスピリッツ)社を1.6兆円で買収し、ウイスキー「ジムビーム」など強力なブランドを獲得した。買収の5カ月後に社長となった新浪氏は統合作業に奔走し、現地社員との衝突などを乗り越えて強い組織を作ったと自負する。
新浪氏が達成できなかったこと
新浪氏がサントリーでやり残したことの多くも、海外事業にある。
社長在任中は、サントリーがRTD(Ready to Drinkの略語。缶チューハイやハイボール缶など、開けてすぐに飲める飲料)の目標として掲げる「売り上げ世界一」を達成できず、人口増が続くインドでは事業を思うように拡大しきれなかった。
これからは会長の立場でさらに海外事業を拡大させていくと意気込んでいたさなか、道半ばでの辞任となった。
足元ではアメリカで消費低迷が続き、サントリーの主柱であるウイスキーやスピリッツなどの販売が落ち込んでいる。周囲のサポートがあるとはいえ、突然、国内外の課題を一人で背負うことになった鳥井氏の重圧は計り知れない。
