〈のしかかる重圧〉新浪氏が違法薬物疑惑でサントリー会長を辞任・・・鳥井社長との「二人三脚体制」は崩れ、課題山積の海外や国内酒類の行く末は?

「サントリーでは、もっともっといろんなことをやりたかった」「警察から事情聴取などをされた会長や社長は、みんな辞めなければいけないのでしょうか」――。
経済同友会の代表幹事・新浪剛史氏は、9月3日の定例会見でやりきれない思いを口にした。
同氏は9月1日付でサントリーホールディングスの会長を辞任した。違法の疑いがあるサプリメントを入手したとして警察の捜査を受けたことを理由に、同社は新浪氏が経営者としての適性を欠き、要職に堪えないと判断。サントリーの鳥井信宏社長ら経営幹部の意向に沿う形で、新浪氏が会長職を辞することになった。
会見の中で新浪氏は「サントリーはサプリを販売している会社だから、辞任勧告を受けた。それは納得している」と述べる一方、「法を犯しておらず、潔白だと思っている」と何度も主張した。
経済同友会の代表幹事の活動については当面自粛し、進退は同友会に委ねる。ただ、ある同友会元幹部は「信頼性や納得性を失って、同友会トップの継続は無理。自分の言葉でシロと主張する機会を与えてもらったのだから、後は潔く辞任すべき」と語る。
「弟子」が「師匠」へ辞任勧告
「……二人三脚でやっていくと言っていたのに、大変残念です」
9月2日の午後に行われたサントリーの緊急記者会見。鳥井社長は言葉を詰まらせ、悲哀の表情を見せた。
この時、鳥井社長の脳裏に浮かんでいたのは2024年12月12日の社長交代会見だ。2025年3月に、社長を10年間務めた新浪氏が会長へ、副社長だった鳥井氏が社長へと昇格する人事を発表した。

敬意を込めて「新浪社長」と呼ぶ信宏氏を新浪氏は「ノブ」と愛称で呼び、「二人三脚で経営を進めていく」と笑顔で語っていた。
両者はいわば“師弟関係”にある。新浪氏は2014年10月に外部出身として初めて社長に就任し、創業家出身の鳥井氏を次期社長として育成する役割を担った。10年が経ち一段落したとして、今後は2人で肩を並べて会社を成長させる青写真を描いていた。
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