「まるでアニメの世界にいるみたい」と訪日客が歓喜!外国人向け学校体験「君ノ高校」は、”日本人も唸る”クオリティだった

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さらに、よく見ると各クラスにひとりだけ、どこか違和感のある“生徒”がいる。彼らも仕込みの役者で、学生たちがこれから授業を受ける際に模範例を示す「クラスメイト」役を担っているのだ。

「クラス全体を見る教師役だけではなく、学生一人ひとりをサポートするクラスメイト役がいないと、プログラムの進行は非常に難しいんです。そんな中、クラスメイト役が“リアルな日本の高校生”を演じることで、やり方を教えると同時に、リアリティも演出できるのです」(岩澤氏)

メディアでは、授業中に乱入してくる「不良役」が取り上げられやすいが、実際は細部にまでこだわり抜かれ、学生たちを楽しませるためのさまざまな仕掛けが張り巡らされている。

「おもてなし」のきめ細かさは、給食の時間にも表れている。学生たちは給食着を着てカレーをよそうのだが、留学生の中には豚肉を口にできない信仰を持つ人や、ベジタリアンの人も少なくない。

そうした学生たちのために、ベジタリアン用のカレーだけでなく、ハラルフードのカレーも用意されていた。前出の古峰氏はこう語る。

「給食は家庭科室でスタッフひとりが調理しています。ベジタリアン向けの料理は社内でも対応できますが、ハラルフードは対応できません。そこで今回は、ハラル料理専門店に発注をかけ、特別に用意していただきました」

君ノ高校がある君津市は、推定人口7万8094人の地方都市であり、近隣にハラルに対応している料理店があるとは考えにくい。それでも、学生一人ひとりに「席をくっつけて給食を食べる」という日本独自の学校体験をしてもらうため、手間を惜しまない。

このプログラムの参加費はひとり3万5000円だが、その価格以上の価値が提供されていると感じさせられた(ちなみに、今回は団体割引が適応されてかなり安くなっていたらしい)。

卒業式までみんなが笑顔のまま

筆者もアメリカに住んでいた頃、近所の大学の日本語コースにボランティアとして参加していた。外国人が「日本が好き」と言っても、その理由は人それぞれだ。ゲームが好きでも書道や着付けには興味がなかったり、アイドルが好きでも日本食は苦手だったりする。

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