「まるでアニメの世界にいるみたい」と訪日客が歓喜!外国人向け学校体験「君ノ高校」は、”日本人も唸る”クオリティだった
しかし、ここでトラブルが発生。普段履いている靴のサイズと上履きのサイズが異なっていたのか、何人かの学生がサイズの合わない上履きを履いたまま更衣室へ向かってしまった。上履きはこの日一日着用し、体育の授業でも使用する。
サイズの合う上履きがなく困っている学生のために、スタッフたちは大慌てでダンボールを開封し、探し回った結果、ようやく適したサイズの上履きが見つかった。
実際の学校ではないため、履いてきた靴やスリッパでも問題ないはずのところを、留学生たちは「学校で上履きを履く」という体験をしたい。そんな思いに応えるため、スタッフ総出で上履きを探す。その姿に「おもてなし」の真髄を見た気がした。
正直に言えば、ここに来るまでは「学校体験」といっても、言い方は悪いが「文化祭」程度のものだと思っていた。それに、相手は外国人だ。少々手を抜いても、クレームになることはないだろう……。
しかし、これが彼らにとって最初で最後の日本かもしれない。ひとつでもいい思い出を作るためにも、スタッフたちは一生懸命に働いているのだ。
筆者は10年間アメリカに住んでいた。たびたび言われていることだが、アメリカでは、スーパーやファストフード店といった日常だけでなく、観光地の接客ですら、お世辞にも良いとは言えない。
それが日本に帰国してからというもの、空港の売店から下宿先近くのコンビニに至るまで、懇切丁寧な接客に、文字通り度肝を抜かれた。日本に帰ってきてから15年が経った今、上履きをめぐる一連の出来事を通して、その初心の感動を改めて思い出した。
不良だけじゃない! 生徒にも役者が
ひとりで勝手に感心している筆者をよそに、プログラムは進行していく。思い思いの制服に着替えた学生たちは、教室の席に座っていく。全員が席につくと、教師役のスタッフが教壇に立ち、流暢な英語と圧倒的な演技力で説明を行う。
実は彼らは運動会屋の従業員ではなく、舞台やナレーションで活躍するプロの俳優たちだ。この日、男性教師役を演じた加藤幸司氏は、海外映画への出演経験を持つほか、英語検定1級の資格も有しており、まさに二重の意味でプロフェッショナルである。
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