サッカーの岡田武史氏が学園長、異色「FC今治高校」自由を手に入れた生徒たちのリアル 「エラー・アンド・ラーン」を大切にするワケ

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ほかにも、プロバスケット選手を夢見ていた生徒は、自らの決断でFCIを選び、探究活動の中で、地域で働く外国人労働者の存在を知り、彼らの国技であるバスケットクラブを作って地元とのつながりを作ろうと地元企業と交渉しているそうです。

「世界は分断し民主主義はポピュリズムに陥っている。地球環境が激変し、生命の危機が迫っている。この行き詰まった現実に対応する方法など誰も知らないのだから、これからは、自分で目的を見つけ、失敗しながらやってみる以外に方法はない」という岡田氏の熱い思いに応えるように、実際に社会に出て見えた課題を解決しようともがきながら、でも熱意を持って取り組んでいる姿が垣間見えました。

探究活動をする中で自主的に自分たちのプロジェクトを立ち上げる生徒もいる

もちろん全員が何かを見つけているわけではないでしょう。実際、「自分はまだ何がしたいかを見つけられていない」という生徒もいました。ただ、その生徒は、「この学校に来たことで人と関わるようになり、周囲から刺激を受けて、自分は何をしたいかを探し始めた」と話してくれました。この夏にはさらに世界を広げるために、海外短期留学に出るそうです。

岡田氏は「遺伝子にスイッチを入れる」経験をさせると言っていますが、これは、未知のことに挑戦する中で新しい自分を覚醒させるという意味。生徒たちは、お遍路や探究ゼミなど未知の体験をしながら、遺伝子にスイッチを入れる途上にいるようです。

2期生は入学してまだ4カ月。その彼らに全部を託して行われたオープンスクールでしたが、学校のことだけでなく、今の自分たちの姿を伝えたいという生徒たちの思いがあふれていました。

そんなFCIの入試は学科試験を行わないマッチング入試。ここで何かをしたいという人に来てほしいから、推薦書2通(保護者から1通と学校関係者に限らないその他の推薦者から1通)、志望理由と将来の夢をまとめたエッセイ、自己PR動画の提出が求められます。書類選考を通過すると、面接とワークショップでのパフォーマンス選考が行われます。

会場で話した参加者の中には、今あまり学校に行けていないという人もいましたが、互いにミスマッチがないように、学校もありのままの姿を見せているのだと思いました。

FCIの壮大なるチャレンジは始まったばかり。このチャレンジの答えは生徒たち1人ひとりが出してくれるはずです。美しい瀬戸内海の景色を眺めながら、子どもたちの未来に思いをはせる1日になりました。

(注記のない写真:FCI)

執筆:教育ジャーナリスト 中曽根陽子
東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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