エリート街道の兄と学歴なしの弟…2人の運命が「音楽」を通して動き出す!《セザール賞・主要7部門ノミネート》のフランス映画の凄さ
そして脚本と監督を担当するのは、2020年カンヌ映画祭に正式出品され、ヨーロッパ映画賞コメディ作品賞を受賞した『アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台』のエマニュエル・クールコル。
監督としては本作が3本目となるが、脚本家としては『君を想って海をゆく』でセザール賞脚本賞にノミネートされるなど、ストーリーテラーとして高い評価を受けている。本作でも、無駄な描写を極力排したテンポの良い語り口で、映画の世界に深く入り込むことができる。
本作の撮影はフランス北部の町、ラレンで行われ、ラレン市営炭鉱労働者楽団のメンバーが、ジミーの所属する「ワランクール炭鉱楽団」の人々を演じた。
劇中では、ベートーヴェン、モーツァルト、ドビュッシーからラヴェルの「ボレロ」といったクラシックの名曲から、「クリフォードの想い出」などのジャズ曲、シャルル・アズナブールにダリダといったシャンソンのヒット曲まで、幅広い楽曲が登場する。
世界的スター指揮者が白血病と診断され…

物語は、世界的スター指揮者のティボ(バンジャマン・ラヴェルネ)の練習風景から始まる。「力強く!」「堂々と!」といった具合にエネルギッシュに指揮するティボだったが、突如疲れを感じ、その場で倒れてしまう。
病院に運び込まれた彼は、白血病と診断される。HLA(ヒト白血球抗原)が一致するドナーを探し出さなければならないが、HLAの適合率は100万分の1、きょうだい間で4分の1(25%)といわれている。
そこでティボは妹のローズに協力を求めるが、その検査の過程で自分が養子であること、妹とは血がつながっていないことを知る。
37年間、養母はティボを実の息子のように育ててきたということもあり、養子であることを隠していたのだ。「なぜ黙ってた? 嘘はもうたくさんだ!」とやりきれない思いをぶつけるティボだが、そこで自分に生き別れた弟がいることを知る。
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