【朝ドラ】「子どもの本はいやだなあ」やなせたかしが子ども向けの仕事を嫌がったワケ

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※イメージ(写真:mits / PIXTA)
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NHKの連続テレビ小説「あんぱん」が、放送回を重ねるごとに注目を集めているようだ。漫画家のやなせたかしと妻の暢(のぶ)をモデルにした物語である。やなせたかしといえば、子どもたちに人気の「アンパンマン」の作者として知られているが、ブレイクしたのは69歳のとき。30代でマンガ家デビューを果たして以来、長く不遇の時代を経験している。遅咲きだったやなせたかしは、いかにして飛躍したのか。『大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!』の著者で偉人研究家の真山知幸氏が解説する。
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子ども向けの仕事を当初は渋々引き受けた

NHKの番組で「漫画の先生」として出演するようになってから、子どもたちに人気が出て、子ども雑誌からの依頼も舞い込んでくるようになった、やなせたかし。

「アンパンマン」での大きな飛躍を知っている私たちからすれば「いよいよ成功への道を歩み始めた!」と興奮してしまうが、やなせは子ども向けの仕事に乗り気ではなかったようだ。

当時のやなせが憧れたのは、洗練された1コマ漫画で主に『ニューヨーカー』誌で活躍したソール・スタインバーグや、グラフィック・アートで名を馳せたアンドレ・フランソワなど知的なマンガだった。

ところが、子ども向けに頼まれる仕事といえば、「めいろあそび」や「まちがいさがし」に入れる挿絵や、「交通信号をまもりましょう」「食事の前には手を洗いましょう」「外出からかえったらうがいをしましょう」「早寝早起きをしましょう」と呼びかける児童書の絵である。

理想とのギャップの大きさに「子どもの本はいやだなあ」と思いながらも、依頼はとりあえず受けるのが、やなせの流儀だ。これでいいのかと思いながらも、やなせは子ども向けに絵を描くようになった。そのときの葛藤をこう振り返っている。

「すっかり堕落したような気分になったが、安くても沢山描ければそれなりに収入は多くて、カミさんはにこにこしている。いつしか身は俗塵にまみれて、坊ちゃん嬢ちゃんこんにちは、になっていった」

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