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【朝ドラ】「子どもの本はいやだなあ」やなせたかしが子ども向けの仕事を嫌がったワケ

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  • 真山 知幸 伝記作家、偉人研究家、芸術修士(MFA)
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ミュージカルは大成功に終わり、やなせが携わった舞台装置も「童話的で美しい」と新聞で評価されることになった。初めての経験だったが、これ以降、やなせは舞台装置の仕事も頼まれるようになる。

やなせのインタビュー記事に感激した永六輔

それにしても、なぜ永六輔は、面識もないやなせに大事な仕事を頼もうと考えたのだろうか。その理由はのちに判明することになる。

ライターとしても活動していたやなせは、女優の丹下キヨ子にインタビューをして記事をまとめたことがあった。その記事のなかで「最近の若手では、永六輔がいいわね」という1行があったことから、永六輔は「やなせさんと仕事をしよう」と心に決めたのだという。

やなせからすれば、自分の発言ではなく、インタビュー相手の言葉を書いたにすぎない。それでも永六輔は、この記事で初めて自分の名前が掲載されたことがうれしくて、記事を書いたやなせにも関心を持ったようだ。

やなせが永六輔を褒めたわけでもないのに、なぜ……と、不思議に思われるかもしれないが、私自身、書き手として本を出しながら、編集者としても長く雑誌作りに携わってきたので、この感覚は理解できる。

インタビュー記事には、その相手のみならず、まとめたライターの個性や人柄もまた、行間からにじみ出るものである。やなせには、ジャンルを飛び越えて、人を引き寄せる雰囲気があったのかもしれない。

女優の宮城まり子の場合は、やなせからインタビューを受けただけなのに、リサイタルの構成を依頼している。

このときも、やなせは未経験で一度断っているものの、「歌と踊りを入れて簡単なストーリーでつなげばいいの。細かいことは私が教えるから大丈夫」と押し切られて、短いミュージカル風の構成台本を手がけることとなった。永六輔とまったく同じパターンである。

永六輔の依頼によって、得がたい経験をしたやなせ。このミュージカルで作曲を担当したいずみたくと出会ったことも、やなせの人生にとって大きな財産となった。二人は、やがて月に1曲ずつ、誰もが歌える歌を作り続けることとなる。

(つづく)

【参考文献】
やなせたかし『人生なんて夢だけど』(フレーベル館)
やなせたかし『ボクと、正義と、アンパンマン なんのために生まれて、なにをして生きるのか』(PHP研究所)
やなせたかし『何のために生まれてきたの?』(PHP研究所)
やなせたかし『アンパンマンの遺書』 (岩波現代文庫)
梯久美子『やなせたかしの生涯 アンパンマンとぼく』 (文春文庫)
真山知幸『天才を育てた親はどんな言葉をかけていたのか?』(サンマーク出版)

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