「なんとなく不調」は≪グルテン≫が原因? 小麦由来の“人工的なたんぱく質”が引き起こす現代食の真実

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たとえば、慢性的な疲労感、下痢や便秘、集中力の低下、肌荒れ、PMS(月経前症候群)、生理不順、不妊、アトピー、ぜんそく、鼻炎など、さまざまな症状が起きるため、まさか原因がグルテンにあるとは思いもしないのでしょう。

そもそもグルテンフリーは、このようなグルテンアレルギー患者のための食事療法です。ところが、試しにグルテンフリーを実践してみたところ、体調や精神状態がすこぶるよくなったという例が多数あり、世界中に広まっていったのです。

グルテン過敏症の症状は、日常生活のなかで感じる不調がほとんどで、病院に通うほどの不調ではないことも多いため、潜在的なグルテン過敏症患者はかなりたくさんいると思われます。

グルテンの量は小麦粉の種類によって変わる

ここで、改めてグルテンについて説明しておきましょう。グルテンは食品をモチモチ、ふわふわさせる作用があり、グリアジン、グルテニンに水を加えることで形成されます。

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ふわふわのおいしいパン、モチモチしたうどんやパスタ……私も決して嫌いではありませんが、これらはすべてグルテンの作用です。

ちなみに、ヘルシー食材として推奨されることが多い全粒粉でもグルテンは形成されるので、全粒粉パンやパスタならOK、ということはありません。

小麦に含まれるたんぱく質のうち、80~85%がグリアジンおよびグルテニンで、この2つはほぼ同量含まれています。

小麦粉にも種類がありますが、グルテンの含有量が多いものから順に、強力粉、中力粉、薄力粉となっています。英語でも同様にstrong flour、medium-strength flour、weak flourと呼ばれていて、それぞれのグリアジンおよびグルテニン含有率は、

・薄力粉……約5.4~7.4%
・中力粉……約6.2~8.7%
・強力粉……約9.5~10.7%
・デュラム粉(パスタなどによく使われる)……約10.7%

となっています。

焼いたときによくふくらむ強力粉はパンやピザなどに、きめ細かくさっくり仕上がる薄力粉はクッキーやケーキ生地、天ぷらの衣などに向いています。

最近の小麦は品種改良により、とくにグルテンの含有量が増えてきているといわれています。しかも、小麦食品はパン、ドーナツ、パンケーキ、パスタ、ラーメン、うどん、シリアルからギョウザの皮やカレーのルーまで、私たちが頻繁に食するもの、それも、好きな人にはたまらないものばかり。それだけグルテンの摂取量も増えていることになります。

食べれば食べるほどアレルギーが発症しやすくなるのは、もう説明する必要もないでしょう。

溝口 徹 医師

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みぞぐち とおる / Toru Mizoguchi

1964年神奈川県生まれ。福島県立医科大学卒業。横浜市立大学病院、国立循環器病センターを経て、1996年、痛みや内科系疾患を扱う辻堂クリニックを開設。2003年には日本初の栄養療法専門クリニックである新宿溝口クリニック(現・みぞぐちクリニック)を開設。オーソモレキュラー(分子整合栄養医学)療法に基づくアプローチで、精神疾患のほか多くの疾患の治療にあたるとともに、患者や医師向けの講演会もおこなっている。著書に『2週間で体が変わるグルテンフリー健康法』『発達障害は食事でよくなる』(小社刊)、『花粉症は1週間で治る!』(さくら舎)などがある。

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