「日本車からテスラ、そしてサイバートラックへ」アメリカで起きているEVシフト加速の現実

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奇しくもこのEVエキスポの期間中にトランプ政権はイランの核施設にミサイルを撃ち込んだ。来場者の間では「高騰する石油価格に振り回される生活から永久に脱却したい」という声も高まっていた。

ウィズムさんは現在ホンダのシビックに乗っており、彼のガールフレンドのジェイ・ガブリエルさんの愛車はスバルのクロストレックだ。

どちらもガソリン車だが、ふたりとも将来はEVの購入を目指している。今回ふたりが試乗したのはレクサスのEVでSUVタイプのRZだ。「スムーズな感じで乗り心地が良かった。すごく気に入った」とガブリエルさん。もしレクサスのRZの中古車を買う場合、税金控除額は最大4000ドルだが、ウィズムさんは「4000ドルじゃ少ないな。もっと控除してもらいたい」と言う。

レクサスはEVとハイブリッド車の両方を展示していた(筆者撮影)

ちなみに新車EVを購入する際の控除額は約7000ドルだ。新車のRZの価格が4万4000ドル台からとして、控除があっても、新車なら3万7000ドル以上払うことになる。

ガソリン価格を気にしたくない

ちなみに、このエキスポ会場の駐車場の前では、ある男性が「イーロン・マスク率いるテスラをエキスポの展示からはずせ!」と抗議デモをしていた。彼はマスク氏が右手を高く挙げている写真をプラカードにしてマイクでひとりでデモをしていた。全米のテスラ販売店の前で起きていたデモのメッセージと重なる。

だが、エキスポ会場に一歩入ると、テスラの試乗テントの前には長蛇の列ができていた。今回筆者のインタビューに答えた全員が、テスラ所有者のジョーダンさんを含め「イーロン・マスク」の名は誰も1度も口にしなかった。

一方、トランプ政権のイランへのミサイル発射については、参加者が自由に記入できる会場内のパネルに「石油を巡っての戦争はもうこりごりだ」というメッセージがペンで複数書かれていた。

ガソリン価格の高騰から自由になりたい――という思いが、来場者のEV志向の最大の理由のひとつであることがヒシヒシと伝わってきた。

長野 美穂 ジャーナリスト

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ながの みほ / Miho Nagano

米インベスターズ・ビジネス・デイリー紙記者として5年間勤務し、自動車、バイオテクノロジー、製薬業界などを担当した後に独立。ミシガン州の地元新聞社に勤務した経験もある。

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