また中国との競争は単なる貿易や防衛の範囲を超え、アメリカの政治・外交戦略全体を規定する重要課題となった。アメリカの政策関心はAIや半導体、艦船、ドローン、ロボティクス、量子コンピュータなどの最先端テクノロジー分野に広がっている。これらの技術はアメリカの国家安全保障に直結すると捉えられているからだ。
特に、AI分野における主導権争い、とりわけ汎用人工知能(AGI)の開発競争は21世紀の最重要地政学的競争だ。中国が優位に立つEVや太陽光パネルとは異なり、AIは産業や社会基盤そのものを変革する普遍的な技術である。この競争は、トランプ政権後もアメリカのエリート層のコンセンサスとして続き、長期的な国家戦略となるだろう。
世界の警察官からも撤退
アメリカでは大統領が重要な戦略的国益を守るために軍事力行使を決定する権限が尊重されてきた。6月21日、B-2爆撃機による精密空爆でイランの核開発能力を無力化したことは、テヘランのみならずモスクワや北京への明確なメッセージとなる。アメリカの「自制」が弱さを表しているのではなく、戦略に基づく「選択」である、というのがメッセージだ。
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