Ai GROWは受検者によって評価がブレがちなリッカート尺度(アンケートで多段階の選択肢から選ぶ回答形式)ではなく、定義が具体的なルーブリック方式(学習達成度を評価の観点と尺度を一覧表に可視化した評価方法)を採用。ルーブリックに触れることで、自己の行動や意識を客観的に振り返ることも可能です。

(写真:Institution for a Global Society提供)
偏差値以外の能力を「客観的に可視化」で教育観に変化
自己評価と他者評価のギャップが可視化されるので、自分では気づかない強みに気づくこともできます。実際、偏差値的な学力は高くないけれど、非認知能力の高い生徒が客観的な指標を得ることで自信を持ち、さらにキャリアエリートに選ばれたことで無知の知に気づき、勉強に真剣に向き合うようになったり、逆に偏差値は高い生徒が自分に足りない能力があることに気づいたり、偏差値以外のフィルターを通して、自分に向き合うことできるのです。

(写真:Institution for a Global Society提供)
諫早高校では、科学的な探究を目指しており、自己評価と他者評価を組み合わせ、仮説検証をしながら評価できる点が学校の方針ともあっていると言います。また、同社が開発した、生徒の数理科学的なものの見方や考え方を客観的に検証できる「数理に基づく探究」に特化した数理探究アセスメントも併用することで、「これまで偏差値の軸でしか生徒を見られなかった教員も、これらの指標があることで、生徒を多面的に見られるようになった」と後田氏。
これは、教員にとっても、教育観の転換になるのではないでしょうか。
2022年から実施された総合的な探究の時間は、前述の通りコンピテンシーベースの新しい学力観に基づき授業として行われるもので、大学入試のためではなく、むしろその後の人生において重要になってくる力を育てるものです。しかし、私が取材をしてきても、偏差値重視の価値観はそう簡単には変わらないと実感しています。