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「ダブル選挙による時局の打開は幻影だ」。選挙の神様・久米晃が語る1986年死んだふり解散と今との決定的な差

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あの頃はまだパソコンなどなく、集計用紙に線を引いて、参議院の任期満了がいつで、国会の会期がいつまででとカレンダーを作り、そこからダブル選挙となる日にちを割り出す作業をやった。年明けからダブル選の可能性は報道されていたが、その作業を通してダブル選挙は間違いないことを実感していた。

くめ・あきら 1954年愛知県東浦町生まれ。大学中退後、業界紙記者を経て1980年から自民党職員。2002年党選対事務部長、2011年から事務方トップの事務局長兼任。2019年に定年退職。現在、選挙・政治アドバイザーとして活躍 (撮影:今井康一)

――当時の最大野党は石橋政嗣委員長率いる社会党でしたが、中曽根首相が「解散はしない」と言っていたこともあり、事前の準備が十分にできていませんでした。解散には「大義がない」と批判する向きもかなりあったのでは?

選挙というのは奇襲をしかけるのが一番。解散はないと油断させて解散に踏み切る。「死んだふり解散」と言われる所以だ。中曽根政権はその前の83年の衆議院選挙で自民党単独では過半数に届かず、新自由クラブと連立を組んで政権を維持する状態で、いまの石破政権と似ていると言える。当時は「政局の安定を実現する」ということで選挙の大義として十分だった。

ダメなものをよく見させる効果はCMにはない

――この選挙で自民党が大々的に打ったテレビCMは、家族でお風呂に入っている子どもが父親に向かって「安定って安心だね」と話しかける内容でした。

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