
アメリカのトランプ政権による関税政策が世界の経済と株式市場を大きく揺るがしている。自動車産業など追加関税が直接業績に影響を与えそうな会社はもちろん、為替相場が円高に傾いていることで、これまで円安に伴うインバウンド需要を謳歌してきた百貨店など、小売企業にも逆風が吹いている。
4月15日に本決算発表がほぼ一巡した2月期決算企業には、小売業界に属している会社が多い。これらの企業は「トランプ関税」の影響が本格化する今期(2026年2月期)の業績について、どのような見通しを立てているのか。
東洋経済オンラインでは、4月16日に配信した2024年度の実績ランキングに続き、“本業の儲け”を示す「営業利益」について今期の会社予想の「増益率」と「増益幅」でそれぞれ上位100社を抽出し、ランキングにまとめた。「トランプ関税」の影響が読み切れない中で大幅増益の見通しを出してきた企業は、それだけ今期の業績に自信を持っていると考えられる。
イオンやOlympicの業績回復に注目
増益率ランキングで1位となったのは、小物家電を得意とする中堅家電メーカーのツインバード。増益率は3650%という驚異的な数字となった。ただ、これは前期(2025年2月期)の営業利益が400万円と極度の低水準だった反動であり、過去の利益水準と比較すると今期の営業利益予想は1億5000万円と冴えない。
むしろ実態ベースでは、2位に入ったOlympicグループのほうが注目に値するかもしれない。首都圏を中心にスーパーやホームセンターを展開する同社は、このところ業績が低迷していたが、販促活動の強化や非食品部門の商品を見直すことで業績回復を見込んでいる。
増益幅ランキングの1位は、総合流通大手のイオン。前期は総合スーパーや食品スーパーが振るわず、全社で前々期比5.2%の営業減益となったが、今期は価格戦略やコストコントロールを見直すことで前期比で322億円の営業増益幅(増益率は13.6%)を見込んでいる。
一方、国内の流通業界でイオンと双璧をなすセブン&アイ・ホールディングスは13位にランクイン。増益幅は30億円強を見込んでいるが、増益率はわずか0.7%にとどまる見込みだ。