世界では10%配合がスタンダードな「バイオエタノール混合ガソリン」、日本政府も採用する方針を固めた。導入が進むアメリカでの実態をルポ
日本ではこれまで、バイオエタノールと石油系ガスであるイソブテンと合成して作るETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)をアメリカとブラジルからのエタノールの90%以上がETBEに返還されて輸入されている。しかし、このETBEは、直接混合比率と比べるとこれはE1.85(1.85%混合)にしかならない。
アメリカではすでにE85(85%混合)、またブラジルではすでにすべてがバイオエタノールであるE100も供給されている。アジアではE10がスタンダードになっている国が多い。そんな中、遅ればせながら日本もこれに追随することになった。
では、世界最大のバイオエタノールを生産し、ガソリンとの混合燃料が普及しているアメリカでは、どうなのか。消費者と最も近いガソリンスタンドでどう売られているか、状況をルポした。
普及・教育・啓蒙がとても大事
「彼は常連でね。いつも来てE85をたっぷり入れてくれるんだよ」
アメリカ・イリノイ州のシカゴから西へ約30キロメートルに位置するデュページ郡エルムハーストにあるガソリンスタンド。ここを中心に全米39カ所でガソリンスタンドを経営するパワーエナジーグループのサム・オデー社長は、給油に来たお客と笑顔で話を交わしている。

ここではE10(10%混合)になっているレギュラーガソリンに加えて、バイオエタノールの混合率が15%のE15からE30、E70、そして85%混合のE85まで、数種類のバイオエタノール混合ガソリンを販売している。
ガソリンスタンドでしばし車の動きを見ていると、ハイオクのレギュラーガソリンを給油する人もいたが、E15やE85のレーンにすっと車を寄せ、給油機を手にするお客が多い印象を受けた。それだけ普及しているということなのだろう。
オデー氏が混合ガソリンの販売を始めたのは2002年。「混合ガソリンの販売を始めて20年あまり経ったが、始めるときはかなりチャレンジングなものだった」と打ち明ける。とくに「消費者になぜ混合ガソリンを買ってもらうか、その普及・教育・啓蒙がとても大事だったからだ」と言う。
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