「ドイツ人は断捨離をしない」それでも家が片付いているのは、日本人とは物に対する考え方がまったく違うから

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ドイツではかつて、メモなどをファイルせずにそのままにしておくことはツェッテルヴィルトシャフト(Zettelwirtschaft)と言われ、揶揄と軽蔑の対象でした。ツェッテル(Zettel)とはメモなどを書いた紙キレのことであり、紙キレが机や部屋に置かれたままでどんどん増えていくカオスな有り様を指します。

昔のドイツでは、女性は花嫁修業も兼ねて家政学を学ぶことが多かったのですが、そこでも「ファイルできない紙キレは即ゴミ箱へ」と教育されていたほどです。

日本にいると紙が増える?

「日本にいると箱とか紙がとにかく増える!」

こう言って笑うのは、かつて日本に住んでいた私の友人、30代のダグマール(Dagmar)さんです。

「ちょっと買い物に行くとビニールや紙袋に入れるでしょ。お土産やプレゼントを買うと、ものすごい紙を持ち帰ることになる」

ドイツ人は飾らず・悩まず・さらりと老いる
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最近は改善されてきたものの、確かに日本はまだまだ過剰包装が多いと私も感じます。物が捨てられない「もったいない精神」が少しでもあると……家の中に紙袋やら箱やらが増えていくことになります。

現在はドイツに住み、日本語からドイツ語への翻訳の仕事をしているダグマールさんは、「何日までに返送してください」という書類が出版社から届くと、送られてきた封筒の住所の部分だけ貼り替えて、同じ封筒で返送をするのだそうです。

「サイズもぴったりだし、新しい封筒を買う必要もないし、合理的でしょ。メモ用紙には裏紙を使い、かわいい包装紙は取っておいて、また何かの時に使うようにしているの」

物を捨てる「断捨離」を考える前に、まず物を買わない、増やさない。これが節約好きなドイツ人の「片付けの基本」と言えそうです。

サンドラ・ヘフェリン コラムニスト

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Sandra Haefelin

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴20年。 日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「ハーフといじめ問題」「バイリンガル教育について」など、多文化共生をテーマに執筆活動をしている。著書に『ハーフが美人なんて妄想ですから!!』(中公新書ラクレ)、『ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(ヒラマツオとの共著/メディアファクトリー)など著書多数。

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