40年、50年も? 返済期間「35年超」の"超長期"住宅ローンが利用急増 「こんな借り方はNG!」メリットとデメリットを解説
念のため金利タイプについておさらいすると、当初の3年や5年、10年などの選択した一定期間だけ金利が固定されるのが「固定期間選択型」、年に2回金利が見直されるのが「変動型」だ。固定期間が短いほど適用される金利は低くなる。最も金利が低くなる「変動型」を利用する人は、住宅金融支援機構の調査では77.4%にまで達している。
超長期の住宅ローン、メリットとデメリットは?
超長期ローンは、誰でも利用できるわけではない。住宅ローンの利用条件のひとつに「完済時年齢」の年齢制限があるからだ。金融機関によって異なるが、80歳までとか85歳までといった事例が多い。
そのため、超長期ローンを利用するのは20代や30代が大半だ。また、適用金利は最長35年の住宅ローンと同じとは限らず、金利が高くなることが多い。
では、金利が高くなっても若い世代が超長期ローンを利用するのは、なぜだろう?
第一に、「35年返済より長くすることで、毎月返済額を減らせる」ことだ。毎月返済額を減らせることは、「借入額を増やせる」ことにつながる。住宅ローンの借入上限額は、「返済負担率(年収に占める年間の返済額の割合)○%以内」などと決められている。「○%」の数値は金融機関ごとに、年収などの借りる人の条件によって変わる。毎月返済額が低いほど、年間返済額も低くなるので、借入上限額を引き上げることができる。
一方で、返済期間が長いと金利がその期間かかってくるので、全期間の「返済額の総額(総返済額)は増える」。なおかつ、35年返済より金利が高くなれば、さらに総返済額は増える。損得だけでいえば、超長期のほうが損をするわけだ。
具体的な返済額の違いについては、楽天銀行のサイトで試算したものが掲載されていたので、これで説明しよう。この試算でみると、毎月返済額は50年返済にすることで、2万1615円下がるが、総返済額は50年返済のほうが733万8725円増える。

ほかにもデメリットはある。いかに若い世代とはいえ、35歳で40年返済にした場合は完済年齢が75歳、30歳で50年返済にした場合は完済年齢が80歳。定年年齢が延びているとはいえ、「年金暮らしになっても返済が続く」可能性がある。
また、借り入れ当初は返済額が利息に多く充当されるので、元金はなかなか減らない。返済期間が長いほど、元金の減るスピードは遅くなるので、万一、途中で売ることになった場合、売却代金よりも住宅ローンの残債額のほうが多い「残債割れリスクが高まる」可能性もある。
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