保育園「プリスクール」が影響?「英語で学ぶ」小学校の国際コースが増加のなぜ 授業料は年150万~250万円、格差の懸念も…
プリスクールの増加と「おうち英語」の普及
プリスクール(英語保育施設)も、卒園児が年々増加しています。現在、全国に約800園あり、筆者が独自に調べたところ、東京都内に英語保育施設は244園あり、毎年3900名の卒園児を輩出しています。
朝から夕方まで英語で学ぶ園児の英語力は、英検3級・4級相当であり、保護者も英語力を維持してほしいと考えます。そのため英語力のあるプリスクール卒園児は、一部がインターナショナルスクールの初等部、小学校の国際コースを選びます。

「おうち英語」の拡大も、目を見張るものがあります。おうち英語とは、英語教室やインターナショナルスクールに通わせるのではなく、家庭で英語に触れる環境を作り、子どもの英語力を育てる学習方法のことです。
英語教材を組み合わせ、子どもの成長に合わせて調整する英語習得法です。おうち英語は、ディズニーワールドファミリーなどの英語の視聴覚教材を中心に発展してきました。現在は、アプリ、オンライン英会話などサブスクリプションモデルが増えています。
アメリカのEnuma(エヌマ)社が開発した家庭学習用英語アプリ「トド英語」は、報道によると、3〜9歳向けでの利用者が2024年に前年比70%増の11万人に達したといいます。教材自体は決して安くありませんが、英語学習のスタイルが大きく変化しています。
英語力のある小学生が目指す場所
英語力のある小学生は、従来は帰国生が中心でした。それが今では、国内のプリスクール卒園児で英語力のある子が増えていて、国公私立小学校またはインターナショナルスクールの初等部に進学しています。こうした子たちは、英語によるアフタースクールに通うことが増えており、夏休みには国内外のサマースクールに参加します。
さらに国際系中学校・高等学校を受験する傾向も高く、帰国子女アカデミー(KA)、J PREPなどの塾で英語力を向上させながら渋谷教育学園幕張、渋谷教育学園渋谷、広尾学園、広尾学園小石川、サレジアン国際学園、サレジアン国際学園世田谷、開智日本橋学園、三田国際科学学園、かえつ有明、芝国際、文化学園杉並ダブルディプロマなどを受験していきます。
国際系の人気は高く、寮のある新たな国際系では、UWC ISAK Japan、茗溪学園、東京都立国際高等学校などが英語で学ぶ国際バカロレア認定校として人気です。東京都府中市ある明星学苑は、帰国生、国際生向けに明星 institution 中等部を創設するなど英語力のある小学生に注目が集まっています。
現在、英語力のあるプリスクール卒園児が、年間3900名が卒業する中で、不足していたのが英語で学べる小学校というわけであり、その後は国際系中学校・高等学校に進学しています。

国際教育評論家、インターナショナルスクールタイムズ編集長
アメリカカリフォルニア州トーランス生まれの帰国子女。人生初めての学校である幼稚園をわずか2日半で退学になった「爆速退学」の学歴からスタート。帰国後、千葉・埼玉・東京の公立小中高を卒業し、大学では会計学を専攻。帰国子女として、日本の公立学校に通いながら、インターナショナルスクールの教育について興味を持つ。2012年4月に国際教育メディアであるインターナショナルスクールタイムズを創刊し、編集長に就任。その後、都内のインターナショナルスクールの理事長に就任し、学校経営の実務を積む。また教育系ベンチャー企業の役員に就任、教育NPOの監事、複数の教育系企業の経営に携わりながら、国際教育評論家およびインターナショナルスクールの経営とメディア、学校および海外のインターナショナルスクールから日本校の開校コンサルティングのセブンシーズキャピタルホールディングスの代表取締役CEOを務める
(撮影:今井康一)