パナソニック、次世代テレビは“不戦敗”  重すぎた「プラズマ集中」のツケ《下》

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これは、米マイクロソフトの「キネクト」にそっくりだ。家庭用ゲーム機「XboX360」の周辺機器で、コントローラーなしで体全体を使って遊べるのが特徴だ。10年の発売から1800万台を売り上げるヒット商品となっている。

サムスンとLGは、アイフォーン4Sに搭載されている音声認識機能「Shiri(シリ)」に似た機能も搭載。豊富なアプリに加え、新機能を盛り込むことで各社横並びのスマートテレビで差別化を図った。

対するソニーは、「ビデオアンリミテッド」「ミュージックアンリミテッド」という動画・音楽配信サービスを強化する。音楽・映画事業を手掛けるコンテンツホルダーであることを生かした戦略だ。ただし音楽配信サービスはアップルの「iOS」に対応する予定で、機器の差別化にどこまでつながるかは未知数。パナソニックやシャープもスマートテレビを展示したが、スカイプやSNSが楽しめるといった内容が軸で、韓国勢ほどの勢いは感じられなかった。

大画面テレビ全盛の中、パナの新技術は中小型

防戦一方の日本のテレビメーカーにも、復活の芽はないわけではない。有機ELテレビでは韓国勢に完全に先を越されたが、高精細な大型テレビ開発の競争力は健在だ。

シャープは85型の「8k」テレビをCESで展示した。通常のHD映像の16倍の解像度で、現実との区別がつかなくなるほど臨場感がある。発売時期は未定だが、8kテレビの前には終日人だかりが絶えなかった。

ソニーも55型の「Crystal LED ディスプレイ」を展示。微細なLEDを画素数と同じ数量配置して、有機ELに劣らない美しい色の再現性を実現した。「大型化でき、製品化も視野に入れている」(ソニー)という力作で、ライバルとは異なる新しい提案を行った。

そうした中、パナソニックが目玉に据えたのは20型IPS液晶の「4k」パネルだった。大画面の4k液晶テレビは東芝やシャープ、サムスンなど複数社が開発しているが、世界最小サイズを実現した。プラズマでも大画面テレビでもない新技術は、パナソニックのテレビ事業の何を示唆しているのだろうか。

◆パナソニックの業績予想、会社概要はこちら

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(西澤佑介、前田佳子 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2012年1月28日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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