パナソニック、次世代テレビは“不戦敗”  重すぎた「プラズマ集中」のツケ《下》

拡大
縮小

 

だが、中小型転換のできない主力のプラズマは、身動きが取れない。最新鋭の尼崎第3工場は稼働1年半で停止に追い込まれた。当初は同社上海工場へのライン移設を検討したが見送った。仮に売却するにしても、韓国2社はすでにプラズマの増産投資など眼中にない。残るは中国チャンホンとなるが、足元を見られて買いたたかれるのは目に見えている。ディスプレイサーチによると、15年の世界のプラズマテレビ出荷台数は859万台(10年は1844万台)まで大幅な縮小となる見通しだ。

「プラズマの生産ラインは別製品への転用が難しい」と、あるプラズマの技術者は指摘する。09年に日立の宮崎工場が昭和シェル石油に売却され、太陽電池の工場に転用された。だが使えたのはクリーンルームなどの建屋に限られたという。

台風の目はアップル スマート化にしのぎ

注目すべきはこうした既存プレーヤーの浮沈だけではない。今年はテレビの変革の年になるかもしれない。台風の目はアップルだ。得意の操作性やデザインを武器に、ネット接続するスマートテレビ「iTV」を発売するとささやかれている。故スティーブ・ジョブズが開発に参加したともいわれ、登場前からテレビメーカーは戦々恐々としている。

今年のCESでも、主役はスマートテレビだった。パソコンと同じOSを搭載することで、ネットの閲覧や動画などを楽しむことができる。数年前からテレビメーカーはコンテンツ配信サービスに力を入れており、売った後も収益化につなげるビジネスモデルの構築を模索してきた。

サムスンは、上部にセンサーカメラを付けてモーションコントロール機能を搭載したスマートテレビを紹介した。前に人が立つとカメラが認識し、リモコンがなくても手を動かすだけで操作することができる。フィットネスなどの対応アプリも複数紹介した。

 

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT