IT企業が踊り出す“ビッグデータ”狂騒曲 顧客企業はまだ様子見 個人情報など課題山積

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大手消費財メーカー幹部は「5年前、IT企業に数億円も払って情報分析を依頼した。分析どおりにマーケティングを仕掛けたが、期待した成果は出なかった」と打ち明ける。

eビジネス、ASP、クラウド……。IT業界ではこれまでも“バズワード(流行語)”を生み出し、それを宣伝文句にビジネスを活性化させてきた。コンセプト先行だったものも少なくない。

もちろん、ビッグデータは単なるマーケティング用語ではない。現に多くの企業は、ツイッターのつぶやきやSNSの口コミを分析して、製品開発や接客方法に反映させている。消費者行動の予測は、従来より間違いなく精緻になる。それでも、ビッグデータに足るだけの情報を持っていない多くの企業にとって、費用対効果を考えると実際の活用は難しい。

 

 

グーグルは検索ワードから個人の興味対象がわかる情報を保有しており、米アマゾンも購入履歴やクレジットカードなどの情報を持っている。フェイスブックでは職業や行動履歴までわかる。「ビッグデータの活用が進む中で、グーグル、アマゾン、フェイスブックなど、自ら情報を保有・処理する企業が強みを発揮するだろう」(野村総合研究所ICT・メディア産業コンサルティング部の鈴木良介主任コンサルタント)。

「ITシステムに加えて、経営、統計学の知識がある人材が必要だが、不足しているのが現状」(伊藤忠テクノソリューションズ・ITビジネス企画推進室・ビジネス開発チーム・田中匡憲チーム長)という問題もある。IT企業は人材育成を急ぐが、間に合っていないのが実情だ。

 

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