IT企業が踊り出す“ビッグデータ”狂騒曲 顧客企業はまだ様子見 個人情報など課題山積

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SNS、スマホの普及であふれる個人データ

大量のデータを瞬時に分析することで、人間の行動や自然現象などを予測し、経営に生かしていく──こうした考え方は、ビッグデータと名付けられ、注目が集まっている。

実は、ビッグデータの概念自体は目新しいものではない。POSデータなどを利用し、おむつ売り場のそばにビールを置くと売れる(母親はかさばる紙おむつを買ってくるよう父親に頼み、父親は店頭でついでにビールを購入する)といった情報分析がなされてきた。これらはビジネス・インテリジェンスやデータ・マイニングなどと呼ばれ、ITサービスとして確立している。

それがIT業界を取り巻く環境の変化で、さらなる進化を遂げた。

ツイッターやフェイスブックのようなソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が広まり、インターネット上には個人の趣味嗜好から日々の行動までが書き込まれている。ほとんどのスマートフォンにはGPSが搭載されており、個人の位置情報も簡単に収集できる。監視カメラ、各種センサーなどネットにつながっているか否かを問わず、膨大なデータが生み出されている。

以前は、こうした情報をため込んでおくことはできなかった。「10年前、1テラ(1ギガの1000倍)バイトの情報を分析する記憶装置は1億円した。しかし今では10~100分の1に下がった」(ストレージ〈情報記憶装置〉メーカーのEMCの徳末哲一常務執行役員)。記憶装置の大容量化と価格低下で、あらゆる情報を蓄積することが可能になった。

保存した情報を分析するコンピュータの能力も飛躍的に進化している。10万円以下のパソコンでも一昔前のスーパーコンピュータ並みの能力を持っている。ハードだけではない。米グーグルの論文を基に、米ヤフーの研究者が中心になって開発した「ハドゥープ」。無償で使用できるこのソフトによって、「国家や研究施設のスパコンでしかできないような分析が一般的なサーバーでも可能になった」(日本IBMソフトウェア事業・インフォメーションマネジメント事業部の中林紀彦マーケティング・マネージャー)。

 

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