東京海上の2社が三菱UFJ銀行でも「スパイ活動」 際立つ手口の悪質さ、不正競争防止法違反の疑い

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「他社の動向について密に情報連携してほしい」

今回の情報漏洩では、出向元である東京海上から出向者に対して、そうした趣旨の要請があったこともわかっている。出向者と出向元がまさに一体となって、出向先から得られるさまざまな機密情報を組織的に不正取得していた疑いがある。

損保社員による公益通報が相次いでいる

情報漏洩問題をめぐっては、金融庁が2024年7月と同11月の2度にわたって、東京海上などの損害保険各社に対して保険業法に基づく報告徴求命令を出している。

顧客情報などの「スパイ活動」をめぐって、損保社員による金融庁や警視庁などへの公益通報が相次いでいる(記者撮影)

さらに今年2月には、損保各社に対して不正競争防止法上の問題点などを詳細に尋ねるアンケート調査を実施している。

調査の大きな焦点の一つは、出向者が持ち出した競合他社の契約者情報などが、不正競争防止法上の「営業秘密」にあたるのかどうかという点だ。不正競争防止法では、産業スパイによる「営業秘密」の不正窃取を営業秘密侵害罪とし、違反者に対する刑事罰を規定している。

同アンケートで一部の損保は、営業秘密の不正取得にあたると金融庁に回答しているとみられる。さらに、金融庁や警視庁、公正取引委員会には、損保社員による公益通報が相次いで寄せられている。今後、関係当局による行政処分や立件の可能性が出てきている。

中村 正毅 東洋経済 記者

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なかむら まさき / Masaki Nakamura

これまで雑貨メーカー、ネット通販、ネット広告、自動車部品、地銀、第二地銀、協同組織金融機関、メガバンク、政府系金融機関、財務省、総務省、民生電機、生命保険、損害保険などを取材してきた。趣味はマラソンと読書。

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