VW技術者らが数年前に排ガスの違法性を警告 1年以上続いた「疑惑」に終止符
[ベルリン/ローマ 27日 ロイター] - 独フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE)の排ガス規制逃れ問題で、VW社員とサプライヤー1社が4年以上前に、排ガス規制を逃れるために使用されたソフトウエアの違法性を指摘していたことが分かった。
ドイツの新聞2紙が27日伝えた。
フランクフルター・アルゲマイネ紙は、VW監査役会に近い筋の話として、25日の監査役会に提出された社内報告書に、社内の技術者が2011年に不正な排ガス規制逃れについて警告していたことを示す記述があったと報道。警告時点で問題への対処がなされかった理由は明らかになっていない。
一方ビルト紙は、部品サプライヤーのボッシュROBG.ULがVWに供給した問題のソフトについて、規制逃れに使うことは違法だと2007年に書面で警告していたことがVWの内部調査で分かったと伝えた。同紙は情報源を明らかにしていない。
ボッシュの広報担当者はVWとの取引内容は機密事項だとした。
VWは2紙の報道の詳細に関するコメントを拒否。広報担当者は「本格的な調査を行っている。(顧客とディーラーに対する)技術的な対応策にも取り組んでいる」とし、「信頼できる事実が分かり次第、回答できる」と述べた。
VWの内部調査は、どのレベルの幹部までこの問題に関与していたのか、いつから問題を認識していたのかを中心に行われるとみられる。
ビルト紙はまた、情報源は明らかにしていないものの、引責辞任したウィンターコルン最高経営責任者(CEO)が来年末の任期までの給料を要求したが、取締役会から拒否されたと報じている。同氏の昨年の年収は1600万ユーロ(約21億5000万円)で、ドイツDAX指数に組み入れられた30銘柄のCEO報酬の中で最高額だった。
一方、VWのミュラー新CEOは社員あての書簡で、不正問題の調査とコンプライアンスおよびガバナンス基準の向上に厳しい姿勢で取り組むと約束した。
<迫られる対応策>
試験走行時に排ガス規制に適合するようにモードを切り替えるソフトウエアは、VW社製ディーゼル車の約1100万台に搭載されており、同社はいまだ対応策を検討している。
VWイタリア法人は販売代理店に対象車の販売をやめるよう指示しており、計4万台の在庫を抱えることになると、27日付の伊コリエレ・デラ・セラ紙は伝えている。
VWの広報担当者は、ドイツ本社から販売停止の指示はなかったとした上で、各国の販売担当部署は独自に決定する権利があると語った。イタリア法人はロイターの電話取材に即座に応じなかった。
ビルト紙によると、不正ソフトを搭載した1100万台のうち約280万台が対象となる本国ドイツでは、独連邦自動車局(KBA)がVWに対し、10月7日までに対策案を提示するよう求めているという。
ドイツ産業全体への影響を懸念し、同国の政治家たちはVWへの圧力を強めている。
ヘンドリクス環境・建設相は、28日に掲載されるハンデルスブラット紙とのインタビューで、VWのスキャンダルによって「ドイツ製ブランド」の輝きを曇らせてはならないと強調。
「実験室の検査だけを信頼することはできない」と語り、欧州連合(EU)は研究施設よりも通常の道路状況下での走行に重点を置く検査の厳格化を検討しているとの考えを示した。
複数のEU当局者も、車両の排ガス検査を厳格化する可能性を明らかにした。EUの執行機関、欧州委員会のティメルマンス第1副委員長は26日付の南ドイツ新聞に対し、「不正行為を阻止しなければならない」と指摘。より厳格な排ガス検査導入のため、EUが法を改正する可能性があると述べた。
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