ホンダとの統合は破談へ、日産「自主再建」の茨道 「単独」で将来描けず、感情的決裂は両社に痛手

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2024年12月23日の経営統合に向けた検討開始の会見。写真撮影時の両社社長の握手もなかった(写真:今井康一)

両社は昨年12月23日、持ち株会社を新たに立ち上げ、2社が傘下に入る形での経営統合の協議を始めると発表した。最終契約書締結は2025年6月、統合に向けて協議を継続するかの判断を2025年1月末までに行うとしていた。

ただし、ホンダは日産の経営再建を統合の条件としていた。主力の北米、中国事業の苦戦で日産の業績は急悪化。12月の会見でホンダの三部社長は「日産とホンダが自立した会社として成り立たなければ、経営統合は成就しない」と念を押していた。

日産は昨年11月、世界で生産能力を20%削減し、9000人の人員削減を行う「ターンアラウンド」計画を公表。その具体策として、アメリカやタイでの人員削減などが俎上に上がった。しかし、日産の経営陣は国内を含む生産工場や人員の抜本合理化には慎重で、年が明けると社内でも「改革は足踏みしている」という声が聞こえるようになっていた。

さらにホンダと日産の間で、統合比率をめぐる議論もまとまらなかった。両社は1月末をメドとした協議継続の判断を2月中旬まで後ろ倒しにすると明らかにしていた。

お互いへの不信感は募っていた

「日産の意思決定はどうなっているんだ」。ホンダ幹部は2025年の早い時期から日産への不満を表に出していた。一方、日産幹部も「ウチしか相手がいないのになぜホンダは上から目線なのか」と憤っていた。

日産の動きの遅さに業を煮やしたホンダが示したのが子会社化案だった。「そもそも(合理化策を)決められない。なら、いつまでも対等をうたうことはできない」。前述とは別のホンダ幹部は厳しい口調で話す。

「どちらが上、どちらが下ではなく、共に未来を切り開く仲間」。昨年12月の会見で内田社長は持ち株会社方式での経営統合について「対等の精神」を強調していた。上下関係がより明確な子会社化へとホンダが提案を変えたことが、日産経営陣の気持ちを逆なでしたことになる。

とはいえ、前述したように不協和音はそれ以前から隠せなくなっていた。関係者からは「(破談は)予想通りだ」との声が聞こえる。一方、ある日産有力OBは「ホンダとの統合を断って日産単独で再建ができるのか。経営陣に危機感がまったくない」と苦言を呈する。

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