日本株の「2月の勝者」になるための条件とは何か 相場は不透明だが、透明になってからでは遅い

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しかし、今回のトランプ大統領の関税政策を「ディール」だとして甘く考えていた投資家の売りは、これから出てくる可能性がある。その場合の下値のターニングポイントは、前述の「保っていた水準」の下限がまず一番目となる。

つまり、日経平均では3万9000円であり、この水準が突破された場合はその前の地相場(適正水準)だった3万8000円ということになる。

「勝ち組」に入るための条件とは?

今後、トランプ大統領の影響を受ける世界がどうなるかはまったくと言っていいほど不透明だ。有力シンクタンクなどの分析をみても、1つの現象に対して180度違う意見があったりする。この局面でも読者に的確なアドバイスをしたいが、先高観を持っている筆者としては、今までどおり「押したら買い」としか言えない。

ただ1つ、ここで覚えておきたいのは、「相場は不透明感を嫌うが、透明になってから買っても儲からない」ということだ。先人たちも、面白い相場格言「理路整然と間違える」を残している。つまり「自分がその相場を理路整然と語ることができるようになったら、その相場は終わりに近い」のである。

ときどき株式投資は「賭けごと」に例えられることもあるが、賭けごとは、賭けたらその結果を待つだけである。

一方、株式投資は買ったら売る、または売ったら買い戻すという2回の行為で成り立っている。つまり、勝つか負けるかは2回目の行為、つまり買ったら売るとき、売ったら買い戻すときで決まる。

ということは、1回目で多数勢力につくと2回目も多数勢力にならざるを得なくなる。つまり「高く買って安く売る」または「安く売って高く買う」ことになりかねない。株式投資では1回目(仕掛け)のときに、少数勢力(意見)につくことが勝ち組になる条件だ。

また2月2日は節分だったが、日本では「節分天井・彼岸底」の相場格言に対しての信奉者が多く、これも2月相場が低調になりやすい一因となっている。過去の法則や傾向を「整合性」というが、これも先人たちは一生かけて相場の整合性を調べ、それが「相場必勝法」として世に残っている。

しかし、その発見した整合性はあくまで過去の整合性であって未来を保証するものではない。逆に、過去に現れた整合性は、未来には極めて不整合になることは統計学の基本だ。これを「整合性のワナ」という。

私の師匠である立花証券・石井久元社長の「石井独眼流」(竜ではない)の、その師匠であった東洋経済新報社出身のエコノミスト・高橋亀吉先生は「過去を忘れよ。変化を知れ。理外の理(常識では説明のできない道理)も学理である」と常に言っていた。

「2日(3日)新甫」や「節分天井」に惑わされることなく、これからのトランプ時代の世界をしっかりみることは必要だが、ひとまず日本株の中心は内需と防衛関連銘柄とみることは、今までどおりだ。

予想を超えるAIの技術進歩は、中国の新興企業「DeepSeek」(ディープシーク)の「V3」や「R1」、アリババグループ・ホールディングの「Qwen(通義千問)」の最新バージョン「2.5Max」などの登場で、まったくの不透明な状態になってしまった。「透明になってから買っても儲からない」とは言ったが、AIの技術革新は計りしれない。しばし注意して趨勢をみたいところだ。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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