「セブン買収合戦」、創業家の9兆円MBOに黄信号 2025年2月中に買収したいが、資金集めに苦戦か

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エクイティとデットの中間的な位置づけである、メザニン(優先株や劣後ローンなど)による調達で、アメリカ投資ファンドから調達する案もあるようだが、一般的には「買収総額の1割程度が限度」(国内外で多くの案件に携わるファイナンシャルアドバイザー)であり、こちらも不足分をすべて補うには至らない。

こうした状況から、セブン&アイ側も判断をしかねている状況だ。

12月5日に開かれたセブン&アイの定例取締役会。年内最後の取締役会ということもあり、「何かしら動きがあるはず」(グループ幹部)と関係者の耳目を集めていた。

ところが、結果は「意外にも無風」(同)。別の関係者によると、当日は特別委員会のスティーブン・ヘイズ・デイカス委員長から、当事者である伊藤副社長以外の取締役に検討状況が報告されたが「どちらの提案も不確実な要素が多い」という趣旨の説明をした程度だったという。

2月までの完了は難しい?

先出と別のメガバンク幹部は「年内に特別委員会のお墨付きを得ることが、2月までに完了する1つの条件」と語る。ただ現状は資金的な裏付けが乏しく、特別委員会も賛同しづらい状況だ。エクイティの上積みがなければ、2月までというスケジュールはもちろん、買収完了さえ危ぶまれる。

今後の焦点は、その上積みを誰が負担するかだ。創業家や伊藤忠が金額を積み増すことは容易ではないというのは先述の通り。セブン&アイとの協業を狙う「第3の出資者」の登場も噂されている。

カナダ企業の買収提案によって幕を開けたセブン&アイ争奪戦。国内大手銀行や総合商社のほか、海外の金融機関や投資ファンドも巻き込む事態に発展したが、前代未聞の規模の金策には、まだ時間がかかりそうだ。

冨永 望 東洋経済 記者

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とみなが のぞむ / Nozomu Tominaga

小売業界を担当。大学時代はゼミに入らず、地元密着型の居酒屋と食堂のアルバイトに精を出す。好きな物はパクチーと芋焼酎。

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