2024年夏のパリ五輪では、LGBTQの当事者であることを公表したアスリートが過去最多の198人だったという。数字の評価は読者に委ねるとして、本書の「性的マイノリティーの中でも、女性アスリートのほうがカミングアウトをしやすい環境にある」という指摘は、スポーツ界の「性」の規範の根深さを象徴する。
近代スポーツの発祥は19世紀英国、上流階級の男子が通うパブリックスクールにあるとされる。リーダーシップやチームワークを培う手段としてスポーツが重視された。
精神的素養や模範的行為を育む中で、スポーツは「男らしさ」という価値観と結びつく。ゆえに、たくましい理想の肉体の体現を求められる男性アスリートが、ゲイであることを公表するのはハードルが高い。それを裏づけるように、近年の夏季五輪に出場し、LGBTQであることを公表したアスリートのうち、生物学的な男性は約1割にすぎないとのデータがある。
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