人気上昇中、オンオフ頼れる「革靴」は何が違う? カジュアル化や天気急変に対応したモデル続々

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ユーザーとの意見交換も積極的に行っており、とくに若い世代の革靴好きからの支持が厚いのもうなずけます。

そんな靴業界の革命児によるモデル「Thomas」は、従来の革靴とスニーカー双方の長所を組み合わせた画期的な一足です。

RAYMARの革靴「Thomas」
「Thomas」2万8000円(税込み)/ベージュ。ロゴを強調しないデザインなのでどんな服にも合わせやすい(写真:RAYMAR提供)

靴の成型(吊り込み)はオーダーメイドの革靴と同様に手作業で行い、アッパーとライニング双方にもハイグレードな革を用いているので、革靴ならではの立体的な履き心地と経年変化を楽しめます。

その一方で、アウトソールはソフトで耐久性が高く補強も容易なイタリア・ビブラム社のスニーカータイプなので、革靴に親しんでこなかった層でも違和感なく履けるでしょう。

RAYMARの革靴「Thomas」
「Thomas」2万8000円(税込み)/ブラック/問い合わせ先:サンレイ、TEL:054-629-8328(写真:RAYMAR提供)

高難易度「スリッポン」特化のオーダーメイド

温故知新型の革靴としては、オーダーメイドの店舗にも注目です。20世紀末には日本でも絶滅寸前だった革靴のオーダーですが、新世代が小規模ながら工房を設けてファンを増やしています。

例えば、JR飯田橋駅から徒歩10分ほどの閑静なエリアに店舗兼アトリエを構えるVISOU。モデルをローファーのようなスリッポンに限定しています。またサイズの設定も一般的な5㎜ではなく4㎜間隔とし、より精確なフィッティングを可能にしています。

VISOU店舗
VISOU/住所:東京都文京区後楽2-18-19窪寺ビル1F、TEL:03-3868-7018(写真:VISOU提供)

スリッポンには、靴ひもやストラップのような微調整機構が備わっていません。そのため靴の形状だけで足にフィットさせる必要があり、製作を嫌がる職人も正直多く、履く側も相性のよいものを探すのに苦労しがちです。

そんな難易度の高い領域にあえて的を絞っている同店自慢の新作が、蝶が羽を広げたような意匠の「バタフライローファー」。もともとはロンドンの著名なオーダー靴店から産まれたデザインだけあって、品のよさと気楽さとがきれいに両立しているのが特徴です。

VISOUの革靴「バタフライローファー」
「バタフライローファー」9万6800円~(税込み、仕様により価格が変動)(写真:VISOU提供)

革の色や種類の選び方によって、使い道を大きく変えられる点も魅力。ジェンダーフリー要素の強まる装いの潮流をしっかり捉えており、女性用の木型も用意されているため、性別や足の形を問わずオーダーが可能です。

足に合った革靴は、適当にサイズ選びをしたスニーカーよりもはるかに快適に履くことができます。底アウトソールの交換や補強などメンテナンスは必要ですが、ケアを通じて十年単位で愛用でき、環境負荷の低減効果も大きいです。新年に向けて新しい一足との出合いを求めている方の参考になりましたら幸いです。

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飯野 高広 服飾研究家

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いいの たかひろ / Takahiro Iino

1967年東京生まれ。大手鉄鋼メーカーに11年勤務したのち、服飾研究家として独立。その経歴から特異な存在としても知られ、主に男性の服飾品全般についてビジネスマン経験を活かした視点で解説する。出版においては、紳士靴関連では2010年に出版した『紳士靴を嗜む』(朝日新聞出版)が今日まで版を重ね、紳士服関連でも2016年出版の『紳士服を嗜む』(同)が類書にない濃い内容で好評。WEBやTVにも活躍の場を広げ、TV番組「マツコの知らない世界」に「靴磨きの世界」のガイド役として出演。NHKテレビ「美の壺」では「男の靴」の回に出演、「スーツ」の回でも総合監修を行った。また、専門学校では近現代ファッション史の講義も受け持つ。

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