斎藤さん再選に「熱狂する人」が知らない"真実" 今回の県知事選は「SNSによる完全勝利」とは言えない

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結果としては、有用な成果を得ることはできなかった。理由としては下記の通りだ。

1: 日本は高齢化社会であり、若年の有権者は少ない
2: SNSを積極的に活用している若年層の投票率は低い
3: SNSの論調は極論が多い(特に保守派の主張が目立つ)
4: 政治家もSNSを信用しておらず、積極的に活用する意欲も薄い

10年以上前のことなので、現状は大きく変化しているところもある。しかしながら、根本的に変わったと言い難いのも事実だ。

今回の兵庫県知事選で斎藤氏は、若年層への訴求を中心に、マスメディアではなくSNSで情報収集、情報発信を行い、その結果として、10代、20代の若者票を集めたという意見がある。

たしかに、出口調査を見ると、若者層ほど斎藤氏に投票している傾向がある。しかしながら、50代までは2位の稲村氏より斎藤氏のほうが投票率は高いし、60代でも拮抗している状況だ。

年代別の投票者の母数はわからないが、兵庫県の人口構成を見ても若年人口は多いとは言えず、若年層が選挙結果を左右したとまでは言い難い。

今回の報道が「偏向している」とされた背景

筆者は、過去に企業のリスク広報の仕事をしていたが、メディアの偏向報道、時には誤報に迷惑することも多かった。最近は、メディアの取材を受けたり、メディアに出演したりする機会も増えたが、報道される側と報道する側の両方から見て、メディア報道が偏向する理由も、ある程度は理解できるようになった。

今回に関しては、メディアが中立的、客観的な報道ができない特殊事情もあったように思える。具体的には下記の通りだ。

1: 人が亡くなっている事案である
2: 事実関係が明らかになっていない点が多い
3: 上記の中で、選挙という報道が制限される環境に突入してしまった

斎藤前知事のパワハラ疑惑などを告発する文書をめぐり、県職員2人が死亡しているが、死因は自殺と見られている。メディアは死者が出ると、報道を自粛する。特に、死者に対して否定的な報道はできなくなるのが一般的だ。告発した当事者が亡くなってしまっているうえに、メディアの報道も制限され、真相が曖昧なまま放置されることになってしまった。

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