斎藤さん再選に「熱狂する人」が知らない"真実" 今回の県知事選は「SNSによる完全勝利」とは言えない
百条委員会(県議会の調査特別委員会)による斎藤氏の疑惑追及が終わらないうちに、斎藤氏は県議会から全会一致で不信任決議案を受けて9月30日に失職。1カ月後の10月31日には、兵庫県知事選挙が告示され、斎藤氏は出馬し選挙戦が始まった。
それ以降、マスメディアは特定の候補者に偏らない、「公平な報道」を行わざるを得なくなる。これまで斎藤氏を批判していたメディアも自粛せざるを得なくなり、疑惑の真相がわからないままに県知事選が戦われることになった。
そのマスメディアの代わりに、情報収集の受け皿になったのが、SNSということになる。
NHKの出口調査では、投票する際に何を最も参考にしたか聞いたところ「SNSや動画サイト」が30%と、テレビや新聞よりも多くなっている。さらに、「SNSや動画サイト」と答えた人の70%以上が斎藤氏に投票したと回答している。
今回の選挙では、SNSの影響は多大であったことがうかがえるが、時代の潮流ということ以外に、上記のような特殊事情もあったことは忘れてはならない。
当初のメディアの斎藤氏批判一辺倒が公正なものだったのかは検証の余地があるとは思うが、メディアが報道姿勢を改めたからといって、問題が解決するとも言い難い。
SNSは本当に選挙や政治を変えるのか?
若年層の投票が斎藤氏当選をもたらしたとは言えないと冒頭に書いたが、現在では、中高年層もSNSを活用するようになっている。また、斎藤氏の勝利にSNSが大きく影響したことは事実には違いない。
一方で、斎藤氏陣営が「SNSを戦略的に活用した」とまでは言い難いようにも見える。斎藤氏は当選後に「SNSはあまり好きではなかったが、応援してくれる人はこれだけ広がる。SNSのプラスの面を知った」と述べている。
失職後と比べて斎藤氏のSNSへのフォロワーが倍増していること、対抗馬の稲村氏よりフォロワー数が10倍以上多いことが指摘はされているが、斎藤氏自身よりは、彼の支持者が発信する情報のほうが、影響力を持っていたと言える。
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