ここ数年、カナダ政府は国家安全保障上の懸念を理由に、カナダ投資法の改正を重ねている。2024年3月には、インタラクティブ・デジタルメディア分野への海外からの投資に関するカナダ投資法の適用条件について、政府の見解をより明確化した。
それによれば、敵対的な国家の資金援助または影響を受けた者が、インタラクティブ・デジタルメディア分野への投資を利用し、カナダの国家安全保障にとって有害な虚偽情報の拡散や情報操作を行う可能性がある場合には、カナダ投資法に基づく審査の適用対象になる。
国民には注意喚起のみ
ただし注目すべきなのは、カナダ政府はTikTokカナダ法人の事業停止を命じただけで、カナダ国民によるアプリの利用は禁止しなかったことだ。ISEDは声明の中で、「ソーシャルメディアのアプリやプラットフォームを利用するかどうかの意思決定は、あくまで個人の選択だ」としたうえで、次のように注意喚起した。
「カナダ国民にとって重要なのは、ソーシャルメディアのアプリやプラットフォームを利用する際に、サイバーセキュリティ上の適切な対策を取り、生じうるリスクをきちんと評価することだ。自分の情報が外国の運営者にどのように保護、管理、使用、共有されるのか、どの国の法律が適用されるかなどに注意を払うことが大切だ」
TikTokに対するカナダ政府の締め付けは、今回が初めてではない。2024年2月には、カナダ政府が(公務員などに)支給した携帯端末上でのTikTokの利用を禁止した。
その理由について、カナダ行財政管理調整委員会のモナ・フォーティエ委員長は当時の声明の中で、「政府のCIO(最高情報責任者)がTikTokを審査し、プライバシーおよびサイバーセキュリティ上の受け入れがたいリスクがあると結論づけた」と述べた。
(財新記者:関聡)
※原文の配信は11月7日
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