車が乗っ取られる?コネクテッドカーに迫る脅威 サイバー空間と現実世界にまたがる対策が必要

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要は頭がしっかりしていても、見るところを歪められるとおかしな結果が起こりうるということだ。こうしたフィジカル(現実世界)からサイバー空間への伝達がねじ曲げられてしまう問題を計測セキュリティという。

「ハンドルやアクセル、ブレーキといった自動車制御の部分でも動かそうと意図した通りに動かない、モーターが正しく回らないといった問題が起こり得ます。これはサイバーからフィジカルへの伝達がねじ曲げられてうまくいかなくなるケースで、両方のパターンがあるわけです。このサイバーとフィジカルの境目が、自動車に限らずモノがインテリジェントになって自律的に動くようになるとき、セキュリティ問題として浮上してきます」

松本氏のいるサイバーフィジカルセキュリティ研究センターでは、こうしたサイバー空間と現実世界が高度に融合した社会が直面、また今後起こる可能性のあるセキュリティ課題を解決する技術の研究を行っている。

サイバー空間と現実空間にまたがるセキュリティ対策

実体のあるモノである自動車ならではの注意点

コネクテッドカーは位置情報を人工衛星から得るGPSや、車両同士の無線通信で周囲の情報を入手し安全運転支援を行う車車間通信、4Gや5Gでクラウドとつながるなど、さまざまな通信接続を行っている。

コネクテッドカーのセキュリティとして懸念が大きいのは、ネットワークを通じて外部から侵入されることである。例えば、PC化する自動車のコンピューターは頻繁にソフトウェアが更新されるが、この更新時を狙って古いソフトウェアに書き戻されたり、悪意のあるソフトウェアに書き換えられたりする可能性が指摘されている。

また、どこをどういうルートで移動したかやそのときの車内状況の記録など、機密性のある情報の流出や、逆に事故を起こした際に証拠となる情報を偽のデータに書き換えられたりする被害も考えられる。

しかも実体のあるモノである自動車は、ネットワーク経由だけでなく自動車のコンピューターに何らかの方法で直接、マルウェアを仕込まれたり、情報を盗まれたりする可能性もあるのが厄介な点である。自動運転に関しては、前述したようにセンサーの正しい計測を歪めるような攻撃が懸念されている。

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