東京で「お金のない若者」が排除され起きている事 ディズニーも高嶺の花、カフェすら混んで座れない
MIYASHITA PARKからわかるのは、どことなく街全体が若者に対する「排除」を強めているのではないか、ということだ。
もっとも、街や商業施設が若者を「排除しますよ」と公言しているわけではない。ただでさえ「多様性」の時代だ(ちなみに渋谷区は区全体として「多様性」を押し出している)。
ただ、確かに街のあらゆる施設は万人に開かれているが、それは「お金があれば」の話で、そうでなければ実質的に使えない。そして、特に若年層は経済的には苦しい状況にある。実質的に、若者世代が締め出しを食らっているといってもいい。
日本全体での税や社会保険などの国民負担率は増加の一途をたどっており、特に賃金が低い水準である10代後半〜20代にとっては、経済的に非常に苦しい現状がある。ニッセイ基礎研究所の坂田紘野氏は、20代の実質賃金は上昇しているにもかかわらず、こうした国民負担率の増加によって、若年世代に経済不安があると指摘する。
また、第59回学生生活実態調査によれば、下宿生の仕送り額は1995年から2010年にかけて大幅に減少し、その後も低下傾向にある。それに、有名な話ではあるが、日本の子どもの相対的貧困率は7人に1人ともいわれており、OECD加盟国の中でも最悪の水準だといわれている。
本来ならばもっと細かくデータを参照すべきではあるものの、大まかに30代未満を若者だとするならば、さまざまなデータが若者の経済的な苦しさを物語っていることは間違いない。
街が「お金を使わないと楽しめない」方向になるにつれて、こうした若い人々の居場所が失われ、公言はされないけれども実質的には排除が起きている。これを「静かな排除」と呼びたい。
「若者のディズニー離れ」言説から見る「若者の静かな排除」
「論理の飛躍では?」と言われることを恐れながらも、この点で最近話題のトピックについても触れてみたい。それが「若者のディズニー離れ」だ。
大手テーマパークとして知られる東京ディズニーリゾートのチケット料が値上がりを繰り返し、日によっては1万円を越す日も現れた。その結果として、他世代と比較してお金のない若者にとって行きにくい場所となり、「若者のディズニー離れ」が生じている……という言説だ。
実際、データを見ていくと、オリエンタルランドが公開しているファクトブックを見ると、「大人(40歳以上)」の層が大きく増加しているのに対し、「中人」(12歳から17歳)「小人」(4歳から11歳)」は減少している。
なお、もうひとつの層である「大人(18~39歳)」は、データ範囲がなかなか広いため、「若者」の定義が曖昧なこともあって、このデータだけで「若者のディズニー離れ」と決めつけるのは拙速かもしれない。
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