「センサリールーム」導入の先駆者・川崎Fの使命 発達障害・感覚過敏のある子もサッカー観戦を
──「えがお共創プロジェクト」の骨子は、どのようなものですか。
スタジアムでのサッカー観戦にハードルを感じる発達障がいのある小学生のお子さんとその家族を対象にした、年に1度の特別企画です。初回の2019年は川崎市が主催し、川崎市自閉症協会が共催、そしてJTB 、ANA、富士通、コス・インターナショナル、Jリーグ、川崎フロンターレが協力という形で参加しました。
障がい者向けの玩具やトレーニング用品を販売するコス・インターナショナルには、スヌーズレン機器(障がいのある人も受容しやすい視覚、聴覚、 触覚、嗅覚などの感覚刺激を与える機器)を多数用意してもらっています。通常のリーグ戦でVIPラウンジとして運営しているスタジアム6階のスカイテラスを活用し、観戦に適した環境づくりにこだわりました。
──当時は日本での実施例がなく、大変な苦労があったのでは。
センサリールームのスタジアム導入が進んでいるイギリスをはじめ、主に海外の事例を参照しながら進めました。「えがお共創プロジェクト」は、初開催の2019年以降、川崎フロンターレが主催となり、共催がJTB、ANA、富士通、世界文化ワンダーグループ(2021年~)、協力がコス・インターナショナル、後援が川崎市として毎年継続しています。そこでノウハウを蓄積するとともに、他チームの事例も学びながらよりよいイベントへと工夫を重ねています。
2024年の開催日は12月8日(日)に決まりました。今回はテスト運営ですが、発達障がいとは異なる障がいがある方にも楽しんでもらえるような企画も考えています。
発達障がいの子どもたちと触れ合い、選手の意識も変化
──センサリールームの中の様子や設備など、具体的な内容を教えていただけますか。
音や光をあまり気にせずサッカー観戦できるスペースのほか、気持ちが落ち着くようなスヌーズレンを用意した、センサリー・コーナーを設置。心地よい音が鳴るおもちゃや、クセになる触り心地のプチプチなど、子どもたちそれぞれに好みが違うため、さまざまなアイテムを備えています。
また、発達支援の専門誌『PriPriパレット』を出版する世界文化ワンダーグループに2021年から協力(2022年より共催)で入っていただき、発達に特性のある子も楽しめる塗り絵などを体験できるブースを運営してもらっています。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら