半導体の対中国規制、いたちごっこ続く次の焦点 アメリカが圧倒的シェアを誇る設計技術がカギ

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今まで強化されてきた対中半導体規制はファーウェイ製品の排除を進める一環として、2019年から本格化したのがその始まりである。図2に主に半導体関連の輸出規制の経緯をまとめている。

対中国輸出規制の推移
図2:ファーウェイやSMICなどに対する輸出規制推移(公開情報を基に筆者作成)

 

輸出規制の主要焦点は露光装置

アメリカは2020年より中国・SMICに対しての輸出制限も行い、その後もその規制範囲を拡大しながら、製造装置で高いシェアを誇る企業を有する同盟国の日本やオランダにも同様の輸出規制を求めて今にいたる。

現時点での半導体製造装置の輸出規制を行う対象製品は以下の3点である。

・14nm/16nmノード以下のロジック半導体製造に使用可能な装置
・128層以上のNANDメモリ製造に使用可能な装置
・配線間隔(HP:ハーフピッチ)18nm以下のDRAM製造に使用可能な装置

焦点になるのは半導体製造のキーである露光装置の輸出管理だ。オランダは2019年にASMLによるSMICへのEUV露光装置の輸出を許可しなかったことから始まり、アメリカの要請に応じて2023年9月より7nmノード以下の先端ロジック半導体が製造可能なASML社の液浸露光装置NXT:2000iなどの輸出規制を開始した。

ただし、これでは上記で示した輸出規制の対象範囲の一部にしか対応していないことになる。そこで2024年9月より16nm/14nmノードのロジック半導体が製造可能な液浸露光装置NXT:1970i/1980iも規制対象に追加された。これがASMLの中国向け受注高が減少し始めた理由だと筆者は考えている。

さらなる規制強化は中国側の動きも念頭にあるだろう。2023年にファーウェイは7nmノード技術で製造された半導体チップが内蔵されたスマートフォンMate 60 Proを販売した。2023年の輸出規制強化に合わせたタイミングだったこともあり、「いくら輸出規制しようが必ず追いつく」との意思表明にも感じられた。

このような動きがオランダによる追加規制につながったのだろう。ファーウェイのスマホに搭載された7nmノード技術の半導体チップ(Kirin 9000S)はSMIC社で製造されたとみられる。液浸露光装置を使用したマルチ・パターニング技術を使用したとみられるが、台湾・TSMCの7nmノード世代の最初の製品もマルチ・パターニング技術を使用し製造されていたことからも、中国が輸出規制で入手不可能なEUV露光装置を使用せずに生産できた可能性は十分にある。

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